急性リンパ性白血病に対する化学療法前の歯科恐怖症患者における全身麻酔下での多数歯歯科治療経験
○酒井洋徳、栗田 浩、中塚厚史、小嶋由子、倉科憲治
今回、急性リンパ性白血病に対する化学療法前に、口腔内に存在する32本の歯牙中、実に31本に対して加療が必要であり、かつ強度の歯科恐怖症であるため、全身麻酔下に集中加療した症例を経験したので報告した。
<症例>
19歳、女性
現病歴:急性リンパ性白血病に対して化学療法施行するにあたり、歯性病巣感染源となり得る歯牙の加療目的に当院内科より紹介受診。歯科恐怖症があり小学生時1度治療経験があるのみ。
現 症:身長147cm、体重47kg、会話時反応が乏しく精神発達遅滞を疑わせる。口腔外所見としては、下顎の劣成長を認める。口腔内所見としては、口腔内清掃状態非常に悪く、全顎に中等度歯肉炎を認める。歯牙の状態は健全歯が1本で、要抜去歯17本、抜随処置が必要な歯牙が14本であった。
経 過:全身麻酔下にて集中治療施行。その後急性リンパ性白血病に対し化学療法施行。現在当院内科入院加療中である。口腔内に新たな歯性感染病巣を認めていない。全身状態が良好となり次第補綴処置等の追加治療を施行していく予定である。
まとめ:今回の症例は、歯科恐怖症の既往があり、また多数歯の治療を短期間に行わなければならなかったため、全身麻酔下での集中歯科治療は有用でありました。治療後、口腔内に新たな病巣などは認めていません。
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