他科の化学療法中に当科を受診した患者の臨床的検討
栗田 浩、小嶋由子、酒井洋徳、馬場浩雄、田中廣一、倉科憲治
各種疾患の治療のため、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、抗血栓薬などの化学療法が広く用いられている。これら化学療法を受けている患者においては、副作用として易感染性、止血異常、創傷治癒不全などの問題がある。これら患者においては治療前よりのオーラルケアが必要とされる。しかし、実際には治療前よりのオーラルケアが充分行われず、化学療法中に口腔内や歯科的疾患により歯科口腔外科を受診する患者も散見される。そこで今回われわれは、化学療法中に歯牙および口腔内疾患のために当科を受診した患者の現状に関して調査を行ったので報告した。
<対象>1999年4月から12月に当科を初診した外来患者1,320名。
<方法>カルテの記載事項から、化学療法中または開始予定患者の患者数、化学療法の内容、歯科口腔外科的主訴/治療内容、化学療法と当科受診との時間的関係を調査。なお、今回調査対象とした化学療法は、抗腫瘍薬、副腎皮質ステロイド(長期)、免疫抑制薬、抗血栓薬の4種類である。
<結果>
1,当科新来患者のうち、他科化学療法施行中の患者は6.3%、化学療法開始予定の患者は1.7%を占めた。
2,化学療法薬の内訳は、抗腫瘍薬が最も多くほぼ半数を占め、次いで副腎皮質ステロイド、抗血栓薬の順であった。
3,化学療法中に受診した患者の歯科口腔外科的主訴および治療内容は、歯性炎症が最も多く約1/3を占め、次いで歯痛・歯牙う蝕、義歯関連・修復物脱離の順であった。
4,当科受診と次回の化学療法(主に抗腫瘍薬)までの期間は、7日未満の症例が多かった。
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