信州大学医学部歯科口腔外科
Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine

レジデント勉強会
ー臨床検査ー
2,白血球・血小板

2004.1.14 H.Sakai

白血球:leukocytesは微生物ならびに他の外来物質に対する身体の防御に重要な機能を持っている。
    全血液容積の約1%を占める。

白血球;3500〜9800/μP
*顆粒球:granulocytes形成において、myeloblastsからmyelocytesの段階を経て3タイプに分化する。
  全ての顆粒球は分葉核をもつ。
  1,好中球:neutrophil leukocytesは主に微生物に対する防御、老廃物の除去。(35~80%)
     増加すると感染、炎症、心筋梗塞、糖尿病性ケトアシドーシス、痛風、慢性好中球性白血病、
      過度喫煙、経口避妊薬服用、
     減少すると薬剤性、放射線性、重症感染症    
  2,好酸球:eosinophil leukeocytesは主に体外異物、
      特に寄生虫による侵入から身体を守る。 (0.8~8.0%)
     増加すると喘息、枯草熱、食物および薬物過敏、アレルギー、突発性好酸球増加症、
      慢性骨髄性白血病
  3,好塩基球:basophi leukocytesは小血管壁の透過性を亢進する。肥満細胞と類似作用。
(0.2~2.0%)
     増加すると慢性骨髄性白血病、

* 無顆粒球:agranulocytesは大きな核を持ち、細胞内に顆粒は見られない。全白血球の25〜
      50%を占める。
  1,単球:monocytesは大型の単核細胞である。活発な運動と食作用を有し、マクロファージ
    となる。(2.5~10.0%)
     増加すると感染症、膠原病、急性肝炎
  2,リンパ球:lymphocytesは大きな核を持ちT-リンパ球、B-リンパ球の2種類に分けられ
     る。(15.0~50.0%)
     増加すると急性感染症(伝染性単核球症、百日咳)、慢性感染症(結核、梅毒)、
      自己免疫疾患、リンパ球性白血病、薬剤性
     減少するとAIDS、先天性免疫不全症、ホジキン病、非リンパ球性白血病、放射線性、薬剤性、
      ステロイド治療に伴うもの

白血球の増加、減少は、好中球、リンパ球に寄るところが大きい。

血小板:platelesは非常に小さな、核を持たない小塊。寿命は8〜11日で使用されなかったものは
    マクロファージによって脾臓で破壊される。
血小板数:M 12.7~35.6万/μP  
     F13.2~36.8万/μP
 
 血小板減少症:10万/μP以下
 <骨髄における産生低下>
  急性白血病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血
  巨赤芽球性貧血、放射線性、抗癌剤
 <末梢における破壊亢進>
  免疫学的特発性血小板減少症紫斑病、全身性エリテマトーデス(自己抗体が血小板と結合)
  非免疫学的播種性血管内凝固症候群(重篤な基礎疾患あり)
 <その他>
  脾臓への血小板poolingの増加(摘脾の必要あり)

血小板増加症:40万/μP以上
 <腫瘍性>
 原発性血小板血症、慢性骨髄性白血病、真性多血症、
 骨髄線維症、
 <二次性>
 急性出血後、摘脾後、鉄欠乏性貧血、など

血小板増加症の場合、止血困難になる場合がある、手術前に60万以下に減らすか、
抗血小板薬にて血小
板機能を低下させる必要がある。

*好中球

核の左方移動:血流中の成熟好中球のうち杆状核球の(未成熟な好中球)割合が増加する場合。一般
      に杆状核球が15%以上なら明らかに左方移動と考えられる。
核の右方移動:抗凝固剤の内服、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)などが考えられる。
       VtB12吸収不足により白血球のturnover阻害がおこる

参考文献
健康と病気のしくみがわかる解剖生理学:西村書店
内科 検査活用マニュアル:南江堂
一目でわかる臨床検査:MEDISI
異常値のでるメカニズム:医学書院

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