便 検査
2004.4.21 横地
便検査は消化や吸収の状態、消化管の炎症などの病変、出血の有無、病原体の種類などを知るうえで大切である。
1.肉眼的検査
形・・・硬さにより有形便、有形軟便、泥状便、水様便などに区
別される。
量・・・混合食の成人で1日100〜250g、植物性食品を多く摂る
と量が多くなり、回数も多くなる。
色・・・正常:茶色、黄褐色
異常:・ 黄色 →高度下痢便
・
灰白色→胆道閉鎖を示す
・
黒色 →上部消化管出血性疾患
薬剤服用(鉄分、又はビスマス製剤)
タール状だと上部消化管内への出血
が100ml以上あったと考えられる。
・
鮮紅色→大腸下部および肛門部出血
・
血性の下痢便→潰瘍性大腸炎、細菌やウイル
ス、原虫などによる食中毒な
どが考えられる。
注意;食事内容によって種々の色調を呈する。
2.便潜血検査
☆消化管出血が疑われる場合に行う検査。
☆肉眼的にはわからない消化管出血の有無を、便中のヘモグロ
ビン(Hb)を理化学的に検出することで調べる。
★ 化学法
1.グアヤック法
2.テトラメチルベンチジン法
・上部消化管出血では免疫法よりも優れている。
・全消化管からの出血を検知できるが、食物中に含まれるHb
をも検出してしまい、偽陽性を呈する問題点がある。
★ 免疫法
・下部消化管疾患での特異性が高い。
・ヒトのHb以外とは反応しない利点はあるが、上部消化管か
らの出血の場合には、Hbが胃酸や消化酵素の作用で変性し
て抗原性を失い偽陰性となる問題点がある。
◎ 便潜血検査を行う際は、両方法を組み合わせて行う!
3.便培養検査
・水様便
・感染所見が認められるのに感染部位がわからない場合
・不明熱がある場合
などの場合に行う検査。
<参考文献> 臨床検査ガイド2003〜2004 文光堂
検査値ハンドブック 医歯薬出版
一目でわかる臨床検査 メディカル・サイエンス・
インターナショナル