History

当科の歴史

世界にも知られた杉田教授の時代から受け継がれている杉田式手術システムと教育システム。
現在はロボット支援手術のさらなる開発や医師への海外留学を積極的にサポートし高いレベルの脳神経外科を推進している。

初代 杉田虔一郎 教授

信州大学医学部脳神経外科は昭和52年(1977年)に新設され、翌昭和53年、杉田虔一郎初代教授(故)が着任し発足した。発足当時は小林茂昭助教授(現信州大学名誉教授)の他8名、病床数は14床で診療開始。杉田教授はマイクロサージェリーの機器・動脈瘤クリップの開発、そしてそれらを駆使して困難な手術を行った脳神経外科医として世界的に知られている。また、杉田式手術システム(術者とともに2名の助手も立体視できる手術顕微鏡、杉田頭蓋固定器並びにリトラクターによる脳圧排システム、手術用椅子、等)は、現在多くの施設で使用されている。

杉田虔一郎 教授

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世界に誇る杉田式脳動脈瘤クリップの発祥の地

コバルトクロム合金「エルジロイ」製
コバルトクロム合金「エルジロイ」製
杉田チタンクリップ
杉田チタンクリップ
杉田チタンクリップ II
杉田チタンクリップ II

二代目 小林茂昭 教授

平成元年(1989年)に小林茂昭先生が第2代教授に就任し、臨床研究を継承しつつ基礎研究にも力を注ぎ、現在の基礎を築いた。
小林教授自らも、脳血管の神経支配に関する免疫組織化学的ならびに生理学的研究を信州大学の他の教室と精力的に行い、臨床的には、頭蓋底外科手術をいち早く取り入れ、内頚・脳底動脈瘤ならびに聴神経腫瘍の治療などで世界をリードした。

小林茂昭 教授

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日本人初、脳神経外科で国際功労賞

小林教授は、脳神経外科の発展に大きく貢献した医師に贈られる米国脳神経外科学会の「国際功労賞」を、日本人で初めて受賞した。
賞は米コロラド州デンバーで開かれた米国脳神経外科学会で授与された。小林教授は同学会のシンポジウムで、故杉田虔一郎教授の業績をたたえ「(受賞は)先人達のおかげであり、日本の脳神経外科のレベルの高さが国際的にも認められた表れ」と喜んだ。

三代目 本郷一博 教授

平成15年(2003年)より本郷一博先生が第3代教授に就任し、信州大学脳神経外科のアクティビティを継続、さらに発展させた。本郷教授は就任時に、

(1)国際的に勝負できる教室づくり
(2)関連施設との連携による高レベルの脳神経外科診療
(3)優秀な脳神経外科医の育成
(4)学生に脳外科のおもしろさを伝える

の4つのスローガンを掲げた。このスピリットは現在の教室にも引き継がれ、信州大学脳神経外科において、開設当初は10名であったが同門会員は140名を越え、関連施設は約25病院となった。
本郷一博 教授

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手術機器、手術室のIoT化の推進と後進教育に尽力

本郷教授は「低侵襲・機能温存手術」に注力し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、東京大学工学部、東京女子医科大学脳神経外科、日立製作所との共同研究により、脳神経外科手術支援ロボット「NeuRobot」を開発した。
また本郷教授は手術機器、手術室のIoT化にも力を入れた。平成30年に複数の医療機器をネットワークで接続する最新のスマート治療室(SCOT)を全国に先駆けて導入した。これにより術中MRIを始めとする各種の医療機器は統合され、高難度の手術における術中方針の決定や術者教育に大きな役割を果たしている。