目標の達成に向け一緒に研鑽しましょう

信州大学医学部皮膚科学教室教授奥山 隆平
信州大学医学部皮膚科学教室教授奥山 隆平

信州大学は今年創立60年を迎えました。その間、多くの先輩がここで研鑽を積まれ、また業績を世界へ向けて発信し、さらに信州をはじめ広く地域の医療の発展に貢献されてきました。今の私たちに課せられた使命は先人の功績をふまえるとともに、活力をもって若手を育成し、そして地域の医療の発展の礎となり、さらに人類の福祉に貢献できるような研究成果をあげることであろうと思います。私たちの教室においても、皮膚科学の面から若手の教育、地域医療、研究に貢献をし、大学としての使命をはたしていきたいと考えております。

と申しても今日、これが容易でないことも事実です。皮膚科に限らず、どの教室においても時間に追われる日々を送っています。ともすれば、連日同じ仕事の繰り返しに陥ってしまいがちです。しかし、単なる繰り返しの毎日ではなんら進歩はありません。それどころか、世の中の進歩に取り残されていくことになりかねません。

私たちが医者として、または大学で仕事をする者として十分な使命を果たすにはではどうしたらよいのか? 私はその答えの1つは、目標を持って日々生活することであろうと思います。最初は、ぼんやりとであっても結構だと思います。「私はこのようになりたい! 私はこのようにしたい!」という目標を心の中に持つことです。その目標に向かって、少しずつであれ近づくように日々をすごすことが大切であろうと思います。昭和40~50年代に野球小僧たちが「長嶋のような、王のような野球選手になりたい」と言って白球を追いかけたように、「私はこうなりたい」と心に定めて日々過ごすことが重要ではないでかと思います。

私も自分なりに「こうありたい」という目標をもつよう心掛けております。その目標をどの程度実現できたか、を考えると忸怩たるものがあります。長嶋選手や王選手を目指しても、そのような名選手に必ずしもなれるわけではないのも事実です。しかし、常に前向きにとらえて進むことで、私の場合は当初予想しなかった収穫を得ることがあったのも事実です。一方、私の場合、年を経るに従い自分の設定する目標がだんだん現実的になり、冒険がし難くなってきたという思いがあります。「いい歳をしてそんなことをいっても」という思いが心の中に生じてきているのかもしれません。

若い世代の人たちに接していると、時に若さにまかせた強い活力を感じることがあります。当初、クラスの中の目立たない普通の人であった人物が、1年後、2年後に才能を開花させ光り輝くことがあります。私が若かりしときにも、周りに急に光り輝き出した友人たちが多数おりました。彼らに共通しているのは、やはり目標を持ち、その目標に向け突き進んでいったことでした。

信州大学には、自分の目標を実現するためのチャンスとエネルギーがたくさんあります。皮膚科学を通して自分の目標をみつけ、その実現をはかろうという若い人の参加を心待ちにしています。若いパワーが爆発したときには1年後、2年後に思いもよらない進展を私たちにみせてくれるものと思います。自分のやりたいことを精一杯やってみようという意欲のある方、信州大学皮膚科教室で目標の達成に向け一緒に研鑽いたしましょう。