CRISPR/Cas9システムにより、マウス大脳皮質ニューロン特異的な遺伝子のノックインに成功しました。

子宮内エレクトロポレーション法により、胎生15日目のマウス脳室周辺ニューロブラストに、β-アクチン遺伝子の翻訳開始点付近を標的としたguide-RNAと、Cas9タンパク質発現カセットを有するプラスミドコンストラクト、緑色蛍光タンパク質であるEGFPコード配列の両端にβ-アクチンの翻訳開始点から上流および下流それぞれ500 bpを含む配列を付加したドナーコンストラクトを、遺伝子導入マーカーである赤色蛍光タンパク質(TagRFP)発現コンストラクトとともに導入しました。この時期の脳室周辺ニューロブラストは、生後マウスの大脳皮質2/3層の錐体ニューロンに分化します。子宮内エレクトロポレーションを行ったマウスの大脳皮質を成熟後に調べると、大脳皮質2/3層の遺伝子導入ニューロン(赤色)の一部で、EGFP(緑色)のシグナルが検出されました(図)。EGFPのシグナルは、樹状棘突起で強く検出され、β-アクチンの局在と一致していることが確認されました。また、EGFPが検出されたニューロンは、形態学的にも電気生理学的にも、EGFP導入によるニューロンやシナプス機能への悪影響は見られませんでした。


図はUemura et al Scientific Reports 2016から転載。