肝臓班

肝臓とは

はじめに、私達の体の中で肝臓がどんな役割なのかについて話しましょう。

肝臓はどこにあるの?

肝臓最もおおきな臓器
肝臓は、お腹のほぼ中心に位置する最も大きな臓器です。
一般的に、体重の約2%と言われ成人で1000〜1500gの大きさになります。
そして私達の食事で摂る栄養素が、腸管から吸収されて最初に送られるのが肝臓です。ですから肝臓は栄養すなわち食事との関わりがとても深い臓器でもあるのです。

肝臓は何をしているの?

体の中の化学工場
肝臓は、腸管で吸収した栄養素を、体に利用出来る形に変化させたり、体の中でできる老廃物をを体の外に排出出来る形に変化させるなど、さまざまな代謝を行います。
栄養素の倉庫と出荷
エネルギーとなる糖分や脂肪分、体をつくるタンパク質などの栄養素は肝臓でつくられて貯蔵されます。そして必要に応じて、血液によって全身へと配送されます。
老廃物の浄化センター
肝臓は、血液によって収集されてくるアンモニアや、古くなった血液の赤血球の成分などの老廃物を絶えず処理しています。

沈黙の臓器、肝臓

肝臓は働き者
肝臓は最も大きな臓器であることと、自己の再生能力があることから、十分な予備能力をたもっており、炎症などにより少しぐらい働きが衰えても自覚症状が出ることはほとんどないのです。無口な働き者なのです。ただ、肝臓の障害が強くなるといろいろな自覚症状や身体上に異常がでてきます。

我々の社会でも、無口な働き者を怒らせてしまうと、たいがい大変なことになりますね、、、。少し話がずれてしまいました。

さて、それでは肝臓グループの主な診療内容を紹介しましょう。

慢性肝炎の治療

C型肝炎は第二の国民病
日本では、200万人以上の人がC型肝炎ウイルスに感染しており、これに伴うC型肝炎は第二の国民病と呼ばれています、この病気は自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行して肝硬変や肝がんになることも、少なくありません。このため、当科では市民公開講座や肝炎教室などを通して広くC型肝炎の啓発活動を行っています。ぜひ、お近くで講座や教室がある際は、お気軽にお出かけ下さい。
また、近年C型肝炎のインターフェロン治療は格段に進歩して、ペグインターフェロンと飲み薬のリバビリンの併用療法により、治りにくいとされていたウイルス型が1型で、ウイルス量の多い患者さんでも約50%はウイルス排除が可能になったのです。しかしその効果は未だ十分とは言えず、さらなる改善が望まれています。当科では、これらの問題を解決すべく、国内外の施設とも共同で基礎および臨床の研究を行い、肝炎の撲滅に向けた取り組みをしています。
また、新しい治療に関係した薬剤の臨床試験(治験:ちけん)にも積極的に参加しています。肝炎の新しい治療をいち早くおこなうことも可能です。
内服薬で治療が進歩(B型肝炎)
B型肝炎は、新しい抗ウイルス剤(核酸アナログ薬)の登場によりその治療法が大きく進歩しました。同薬物はB型肝炎ウイルスの増殖を強力に抑制し、結果として肝炎の沈静化や肝臓の線維化など組織学的な改善をもたらします。しかし、この薬の耐性ウイルス株の出現や、薬剤の中止後の肝炎の再燃など、問題点も少なくありません。これらの問題は、肝臓の細胞内に存在するB型肝炎ウイルスのある遺伝子粒子(cccDNA)が核酸アナログ薬ではあまり低下しないことが主な原因と考えられています。最近私達のグループが共同研究して開発したHBコア関連抗原測定系は肝細胞中のこの粒子の量を反映するマーカーとして注目されており、核酸アナログ薬治療の問題点を解決することに役立つと期待されています。
増えている肝がん
肝がんでなくなる患者さんの数は近年増加傾向にあり、部位別がん死亡者数は、年間3万人を超えました。肝がんの治療は、私たち肝臓グループの重要な課題です。信州大学病院では、消化器内科と消化器外科・放射線科が協力して肝がんの治療を行っています。私たち消化器内科が主に担当するのは、診断と局所療法です。局所療法とは、超音波診断装置を使ってがんに直接注射針を刺入し,無水アルコールを注入したり、電極針を刺入してラジオ波を用いて熱を発生させてがんを殺す治療です。大きさが3cm程度までの比較的小さながんが対象となります。負担の小さなことが特徴的な治療法で、平均入院期間は5日間程度です。当科では2000年からラジオ波治療を行っていますが、これまで300件の治療を行い、3年生存率73%と国内の他の施設と比較しても良好な成績を挙げています。また、肝がんは早期発見で早期治療を行うと、よりよい予後が得られます。私たちは、肝がんのリスクの高い人たちへの定期観察や日常治療を通しても肝がんの予防に日夜努力しています。
自分の肝臓を自分で壊す(自己免疫性肝疾患)
自己免疫性肝疾患という、ウイルスとは関係のない肝臓病もあります。この病気の本体は自己免疫すなわち、本来は病気や外的(ウイルス、細菌など)から身をまもるための働きをするはずの免疫力が、どういう訳か自己すなわち自分の体の一部を異物と間違えて抗体(自己抗体)を作ったり、リンパ球で攻撃してしまう現象です。未だ原因不明の疾患ですが、私達の施設では以前よりこの疾患に関しても診療と研究を積み重ねこれまで世界に向けて、日本人のこの疾患の特徴を発信し、世界的な評価をえています。自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変がその主な疾患です。この疾患は私たち肝臓グループの得意分野の一つでもあります。
以上簡単に、肝臓グループの診療について、述べました。
肝臓を怒らせないために、私達は日夜診療しています。

 


信州大学医学部
内科学第二講座
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