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研究内容

胃腸班

胃腸班
1.消化管の早期癌に対する内視鏡治療(内視鏡的粘膜切除術、 内視鏡的粘膜下層剥離術、内視鏡的ポリペクトミー)
 食道、胃、十二指腸、大腸の早期癌や腺腫に対して年間約150件の内視鏡治療を行っています。特に早期胃癌に対する内視鏡治療に力を注ぎ、これまで500例以上の早期胃癌に対して治療を行ってきました。早期癌に対する内視鏡治療を行うためには、基本となるスコープ操作に加え、病変の範囲診断や深達度診断、適切な内視鏡処置具の使用方法、臨床病理学的知識など総合的な技術と知識が必要です。後期研修とその後の専門研修を通じて、総合的な胃腸疾患に関する知識とさまざまな内視鏡治療手技を修得します。
2.消化管原発悪性リンパ腫に対する非手術的治療
 消化管原発悪性リンパ腫に対して、従来は外科手術が中心に行われていました。胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法や、胃や大腸の大細胞型B細胞性悪性リンパ腫に対して分子標的薬であるリツキシマブを併用した化学療法を積極的に行い、良好な成績をおさめています。診療実績としてこれまで約100例の消化管原発悪性リンパ腫に対して非手術的治療を行い、その成果を積極的に発表しています(英語論文8編、日本語論文12編)。
3. ダブルバルーン小腸内視鏡を用いた小腸疾患の診断と治療
 従来の小腸内視鏡検査では小腸の一部しか観察することができませんでしたが、ダブルバルーン小腸内視鏡を導入したことにより全小腸への挿入が可能となり、積極的に小腸の内視鏡診療を行っています。これまで約40例の患者に施行し、小腸腫瘍7例、メッケル憩室1例、Peutz-Jeghers症候群1例、クローン病1例の診断や治療を行っています
4.内視鏡のリスクマネジメント
 内視鏡診療に伴う感染予防(患者間および患者―医療従事者間)、偶発症対策、検体取り違え事故防止などのリスクマネジメントに力を入れています。感染予防についてはさまざまな実験を行って感染防止に関する論文発表を積極的に行っています。また、内視鏡治療に伴う出血や穿孔といった偶発症の予防や対処方法について検討しています。検体取り違え事故防止については、血液型鑑定やDNA鑑定によって誤った手術を未然に防ぐことができた症例の実績があります。
5.ヘリコバクター・ピロリ感染症に関する研究
 ヘリコバクター・ピロリ感染症に関する研究は、当院臨床検査部と共同研究を行っています。特に胃粘液との関係、薬剤耐性、疫学、MALTリンパ腫関連、胃外病変との関わり、などについては先進的な研究を行い、積極的に論文発表を行っています(英語論文28編)。

肝臓班

肝臓班

基礎的研究

1) C型肝炎ウイルス(HCV)コア抗原の超高感度測定
C型肝炎のインターフェロン(IFN)治療では、血中のウイルスを定量することや、高感度に検出することが重要である。この目的に、現在はPCR法によるHCV RNAの検出・定量が行われているが問題点も多い。我々の研究グループで開発したHCVコア抗原の第3世代測定系は、PCR法に匹敵する感度を持ち、定量性にも優れている。現在、臨床応用に向けた準備を行っている。
2) B型肝炎ウイルス(HBV)コア関連抗原、HBV RNA測定系
B型慢性肝炎におけるHBVの活動性は通常血中HBV DNAの測定により判定されている。しかし、Lamivudineなどの抗ウイルス薬投与下では、血中HBV DNAはHBVの活動性を反映しない。これは、肝細胞中にcccDNAの形でウイルス遺伝子が残存するためである。このcccDNAの排除は極めて難しく、B型肝炎が難治である重要な要因である。当科では、このcccDNAやここから転写されるHBV RNAに注目した研究を展開している。
3)原因不明の肝炎
原因不明の肝炎は、散発性急性肝炎の20%、劇症肝炎の50%、慢性肝炎の5%を占める。これらの原因ウイルスの発見は大きな課題であり、世界の研究施設と共同で取り組んでいる。これまでいくつかの候補を発見したが、残念ながら肝炎ウイルスではないことが明らかとなった。しかし、この領域は重要な研究テーマであり、地道な努力を続けている。
4) 自己免疫性肝疾患
 日本人における自己免疫性肝炎の疾患感受性にHLA-DR4が関連していることを初めて報告して以来、HLA領域および全染色体における疾患関連遺伝子の同定を進めている。また、原発性胆汁性肝硬変においても同様な検討を行っている。遺伝的要因の解析により、より特異的な治療法の開発を目指している。
5) 非アルコール性脂肪肝

臨床的研究

1) C型慢性肝炎のIFN治療
IFN治療に対して難治と言われる1b型で抗ウイルス量の症例ではPEG-IFNとリバビリンの併用療法が主流である。著効率は50%と高率となったが、まだ十分ではない。この著効率を向上させ副作用を軽減するための臨床研究が、長野県内の多くの病院との共同で進行中である。
2) B型肝炎の抗ウイルス療法査
Lamivudineなどの抗ウイルス剤はB型慢性肝炎治療の主流となってきた。しかし、耐性株の出現や中止時期が不明確であるなどの問題点が残されている。これらの課題を解決すべく、肝細胞中のcccDNA量を反映する指標の研究を行っている。コア関連抗原は多施設でその有用性が確認され、臨床試薬としての検討が為されている。HBV RNA測定系はユニークな研究であり、世界に先駆けた研究である。
3) 肝癌の診断と治療
4) 自己免疫性肝疾患討
30年以上前より、自己免疫性肝炎、および原発性胆汁性肝硬変それぞれ患者100名以上を経過観察しており、治療効果、合併疾患、予後と遺伝的背景との関連を研究している。
5) 非アルコール性脂肪

膵臓班

膵臓班

基礎的研究

1) vitamin D, vitamin A 誘導体による膵癌の分化誘導療法の基礎的検討
 膵癌細胞株を用い vitamin D, vitamin A 誘導体による膵癌の分化誘導療法の基礎的 検討を行ってきた。これらの誘導体で一部の細胞で著明な増殖抑制を認め、 cyclin dependent kinase inhibitor である p21, p27 誘導を介するものであることを明ら かにした。今後は反応性を規定する因子を特定するべく仕事を進めている。
2) 自己免疫性膵炎の免疫遺伝学的背景の検討
 自己免疫性膵炎のHLA解析により、本疾患が HLA class II 抗原DRB1*0405-DQB1*0401  haplotype と有意な相関を示すことを明らかにした。現在はゲノムワイドに疾患感受性遺伝子の解析を行っている。

臨床的研究

1) 自己免疫性膵炎の病態解明
 ステロイドホルモンに反応して臨床所見、検査所見の改善を認める自己免疫性膵炎が 注目されてきている。しかし、未だ病因ならびに病態について不明な点が多い。特に本疾患と種々の膵外病変との関連について明らかになってきた。全身疾患の視点から解析を進めている。
2) 重症急性膵炎の早期診断、治療法の確立
 重症急性膵炎については、新しい診断基準が提唱され、また高サイトカイン血症を念 頭に入れた治療法が開発されてきて、救命率が向上してきた。さらに向上させるため の早期診断法、ならびに有効な治療法の検討を行っている。
3)
 膵癌に対して Gemcitabine による化学療法が導入されてから、患者の QOL 、生存率の向上が認められるようになってきた。長野県膵癌治療研究会の会員とともに本薬剤を中心とした膵癌治療の臨床的検討を行っている。

血液班(血液内科)

血液班

血液腫瘍の治療法

 日本成人白血病研究グループ(JALSG)に属し、登録症例を介して造血器腫瘍治療の成績向上に貢献しております。急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病等ではランダム化比較試験を含め多くのプロトコールの実施解析により本邦における標準的治療法の確立、予後因子の同定が可能となり、現在も並行して種々のプロトコールが遂行されています。
同種造血細胞移植に関しては国立がんセンターを中心とする多施設共同研究に参加することで非骨髄破壊的前処置(いわゆるミニ移植)の開発をはじめ移植医療に寄与すべく努力しております。

顆粒リンパ球

  形態的に顆粒リンパ球として定義されるリンパ球があり、細胞障害性T細胞やNK細胞が相当します。比較的稀ではあるものの、顆粒リンパ球が増加、腫瘍化する疾患群が存在します。慢性の経過をたどる顆粒リンパ球増多症、急激な経過を取り予後不良とされるアグレッシブNK細胞白血病症例に関しては本邦有数の症例数を蓄積、報告しました。現在NK腫瘍研究会とともに、日韓共同研究を進めています。顆粒リンパ球増多症に関しての DNA microarray法による関連遺伝子を同定し、またユニークなケモカイン受容体発現パターンを見出しました。また、そのケモカイン受容体に対応するリガンドのいくつかは血中や組織で変化していることがわかりました。

セリアック病 (Celiac disease)

 セリアック病は小麦や大麦に含まれるグルテンに対する過敏症を介して生ずる自己免疫疾患のひとつで、以前は下痢や腹痛といった腹部症状が主体と考えられていましたが、最近の欧米の研究では鉄欠乏性貧血、内分泌疾患、小脳失調症といったさまざま疾患の一部の原因となる可能性が報告されてきています。食物に含まれるグルテンの摂取を制限することで症状の改善が期待できるためいくつかの検査を通じて診断することが重要です。 これまで、本邦や東アジアではほとんど存在しないとされていたセリアック病の本邦における関する検討を現在進めており、何人かの方が本疾患であることがわかりました。

 

血小板・凝固

 血小板粘着に重要な血小板膜糖蛋白Ib/IX複合体の多型検討や、本学小児科との共同研究でBernard-Soulier症候群症例の解析を行いGPIb beta遺伝子に一塩基変異があり蛋白発現、機能に影響することを明らかにしました。
血小板の造血因子であるトロンボイエチン(TPO)に関しては、肝硬変、特発性血小板減少性紫斑病等の各種血小板減少性疾患で血中TPO濃度と病態との関係を報告しました。血中TPO濃度は体内の血小板、巨核球の量と密接に関連して調整されていることがわかりました。


腎臓班

腎臓班

基礎的研究

1) 糸球体障害の発症に関する研究(培養細胞、動物実験など)
  1. メサンギウム細胞活性化の仕組みを明らかにし、腎炎発症機序の解明を試みている。免疫複合体暴露や高血糖状態における培養メサンギウム細胞のサイトカイン産生 能や細胞内シグナル伝達変化の検討により、メサンギウム細胞が免疫複合体を貪食する際にケモカインを産生すること、またその貪食はPKC依存性であること、を明らかにしている。
  2. 腎修復に重要な働きをするhepatocyte growth factor (HGF)の腎内産生機序を解明し、腎疾患治療へ応用することを検討している。この研究により、HGFがメサンギウム細胞で産生されること、またその産生には単球系細胞とメサンギウム細胞の直接接触や未知の液性因子の関与があることを明らかにしている。
  3. 早期糖尿病性腎症の発症メカニズムにおけるNOの役割について解明し、糖尿病 性腎症治療へ応用することを検討している。この研究により、慢性的なNOS阻害は糖尿病性腎症の増悪に寄与していることを明らかにしている。
  4. 本学病理学講座との共同研究により、腎炎進展における糸球体上皮細胞とボウマン嚢上皮細胞との相互反応性について、実験腎炎を用いた解析を行っている。この研究により、新たな腎炎進展機序の可能性を提唱しつつある。
2) 腎における核内転写調節因子PPARαに関する研究
本学大学院代謝制御学講座との共同研究により、核内転写調節因子の一つであるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α型(PPARα)の腎における生理的意義、腎病変進展への関与について、PPARαノックアウトマウスを用いた実験により解析している。この研究により、PPARαは近位尿細管細胞のエネルギー産生や蛋白再吸収機能維持に必須であることを解明することに成功した。現在は、糸球体病変や尿細管障害におけるPPARαの機能について検討しており、PPARαを介した新たな腎疾患治療の可能性について研究を進めている。
3) 尿毒症患者のマクロファージ機能に関する研究
尿毒症患者の免疫状態を検討するために、尿毒症物質で刺激した培養マクロファージの反応性について検討している。この研究により、尿毒症がマクロファージのサイトカイン産生に影響を与えることを明らかにしている。

臨床的研究

1) 透析患者の肝機能障害に関する研究
透析患者の肝機能異常・肝炎の特徴について、長野県内透析患者を対象とした長期的調査により検討している。この研究により、透析患者では、肝逸脱酵素(AST,ALT)が低値になること、各種肝炎ウイルス(C型、G型肝炎、TTウイルス、SENウイルス)に高率に感染していること、輸血以外の経路によるウイルス感染の可能性があること、透析年数に比例して感染率が高くなることを今までに報告している。現在、これらの患者について、追跡調査を継続している。
2) 腹膜透析(CAPD)に関する研究
腹膜透析液による糖代謝・脂質代謝・腹膜細胞障害性について、CAPD患者の血清とCAPD排液の生化学的解析を行い検討している。この研究により、腹膜透析液の腹膜細胞に対する影響が明らかにされつつある。
3) IgA腎症の臨床病理学的予後因子に関する研究
IgA腎症の予後因子を臨床学的パラメーターと病理学的解析により、明らかにすることを試みている。この研究により、高年齢、高血圧、一日尿蛋白排泄量、重松分類における硬化スコアの上昇が腎予後悪化因子になること、メサンギウム領域におけるα-smooth muscle actin(αSMA)の発現が急性病変と相関することを明らかにしている。
4) 腎機能検査に関する研究
長野県内の関連病院との共同研究として、イヌリンクリアランスを基準として、日本人の慢性腎臓病患者(CKD)のGFR推定式を検討中である。
5) 慢性腎臓病患者(CKD)の実態調査に関する研究
長野県内の関連病院との共同研究として、慢性腎臓病患者(CKD)の実態調査を施行中である。
6) 腎移植患者の合併症に関する研究
信州大学医学部附属病院では、腎移植患者の術前・術後管理はすべて内科医が行っている。その特性を生かし、腎移植後の種々の合併症に関し、症例研究を行っている。
7) 透析患者の薬物動態に関する研究
―透析患者に対する経口糖尿病薬の臨床応用について― ミチグリニドは、透析患者に使用できる唯一の経口糖尿病薬と考えられるが、詳細な臨床データは得られていない。現在、透析患者におけるミチグリニドの薬物血行動態につき検討している。
腎臓内科ホームページ

信州大学医学部
内科学第二講座
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