難聴とひとくちに言っても

耳から入った音は、外耳から中耳、内耳を経て、聴神経を通り、脳に伝えられます。この経路のどこに障害が起こっても、音や声がきこえにくくなる難聴が起ります。難聴には、大きく分けて、音を伝える部分に障害がある「伝音難聴」、音を感じる部分に障害がある「感音難聴」、ふたつが合わさった 「混合性難聴」があります。またひとくちに難聴と言っても、程度には差がありますし、高い(あるいは低い)音から聞こえなくなるものなど多くの種類があり ます。また、きこえが悪くなるだけでなく、耳鳴りを伴うもの、めまいを伴うものなど、原因によって症状はさまざまです。

 

 難聴って遺伝するの?

遺伝というと病気が遺伝するようなイメージを持つかも知れませんが少し意味合いが異なります。現在では、高血圧、糖尿病、アレルギーといっ たほとんどの病気で遺伝子が関係していると言われているように、遺伝子と関係する病気は決してめずらしいものではなく、むしろ一般的な病気のほとんどに遺 伝子が関係していると考えられています。生まれつき難聴のお子さんは出生1000人あたり1人いると言われ、他の先天性の病気に比べても頻度が多いことが明らかになってきました。しかもそのうちの半分は遺伝子が関係すると言われています。また老人性難聴など後天性の難聴でも個人差が大きく難聴になりやすい体質(遺伝子)が関係していると言われています。したがって難聴の原因を明らかにし、その後の適切な治療法を考えるためには、遺伝子を調べることが非常に重要になってきました。
 


 

 遺伝子って?

遺伝子というのは生物の体を作る「設計図」にたとえられています。父親と母親から受け継がれた遺伝子(設計図)にもとづいて体の細胞が作られます。遺伝子の種類は約3万と言われていますが、そのうちだれでも数個の遺伝子に違い(変異)を持っています。ですから、ある一定の割合で高血圧、糖尿病、アレルギーといった病気になったり、あるいはなりやすくなったりするのです。難聴に関連する遺伝子は100種類前後と言われていますが、その遺伝子にたまたま変異があると難聴になったり、あるいはなりやすくなったりすることが分かってきました。
 
 


 

 両親に難聴が なくても遺伝子が関係しているのですか?

遺伝子が関係している難聴のうち約70%は劣性遺伝形式で遺伝します。人間はだれでも一対(片方は父親由来、もう片方は母親由来)の遺伝子を持っています。劣性遺伝の場合、変異を持った遺伝子を2つ持ったときにはじめて難聴になりますが、1つの遺伝子に変異があってもその人は難聴にはなりませ ん。例えば両親が1つずつ持っている場合には両親には難聴はありませんが、子供は父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぐことになりますから1/4の確率 で変異を持った遺伝子を2つ持つ可能性があり、そのような場合は難聴になります。ですから、両親に難聴がなくても遺伝子が関係している難聴の子が生まれますし、むしろそのようなケースの方が多いということが分かっています。
 


 

遺伝学的検査って?

先天性の難聴のうち約半数は直接遺伝子が関係していると言われていますので、難聴の正確な診断には遺伝学的検査が欠かせないものになりつつあ ります。原因遺伝子の種類によって難聴の程度、進行するかどうか、めまいや他の体の症状が出て来るかどうか、などの予測がある程度可能になります。またこれらの情報にもとづいて適切な治療や予防について話し合うことも可能になります。またそれぞれの家族で正確な遺伝情報にもとづく遺伝カウンセリングも可能になります。ただし難聴をおこす遺伝子のすべてが明らかになった訳ではないので、検査をしても必ずしも現時点では原因が分からないこともあります。このようにメリットの多い検査ではありますが、もちろん検査をするかしないかはご本人に決定していただくことを原則としています。遺伝子は血液から採取するので、通常の採血のみで済みます。
 


 

遺伝学的検査ってどこで受けられるの?

難聴の遺伝学的検査は、2008年7月に先進医療「先天性難聴の遺伝子診断」として厚生労働省に承認されました。現時点では信州大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で受診することが可能です。詳しくは下記ホームページをご覧ください。

先進医療「先天性難聴の遺伝子診断」のページ

 

 

でも遺伝っていうと漠然とした不安があります

そうは言ってもまだ漠然とした不安や悩みがあるかもしれません。それに対して適切な助言を行うのが臨床遺伝の専門医です。先進医療「先天性難聴の遺伝子診断」では、難聴の遺伝学的検査の結果を遺伝カウンセリングとともに返す検査ですので、難聴や遺伝に関する不安をじっくりと相談することが可能です。信州大学医学部附属病院では、遺伝子診療部の臨床遺伝の専門医が耳鼻咽喉科専門医といっしょに難聴遺伝子診療外来を行い、適切なアドバイス・支援を出来るよう体制を整えておりますのでご希望の方は遠慮なくご相談下さ い。
 

 

守秘義務(プライバシー)を守 ります

遺伝や遺伝子に関する不安や悩みの中には、他人に知られたくない事項が含まれていることがあります。ご本人・ご家族の相談内容やプライバ シーは厳重に守りますので、安心してご相談ください。
 

 

 連絡先

郵便番号 390-8621
長野県松本市旭3-1-1
信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
Tel 0263-37-2666
Fax 0263-36-9164
E-mail: orl@shinshu-u.ac.jp
E-mailでの医療相談は応じかねます


last update : 2008.10.14


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