DNAを上手に利用すれば、ナノスケールの材料を意のままに操る道具になる!
理研連携研究室は、信州大学と特定国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)の連携・協力協定に基づいて2016年に開設されました。理研は、1917年(大正6年)に創立された日本で唯一の自然科学の総合研究所であり、物理学、工学、化学、数理・情報科学、生物学、医科学などの幅広い分野の研究を進めています。当研究室では、金属ナノ粒子や合成ポリマーなどの人工材料と、核酸やタンパク質などの生体材料を化学のチカラで融合した「バイオ機能材料」を基に、主にライフサイエンスや分析システム開発への応用を目指した研究課題に、学生が中心となって取り組んでいます。
世界に先駆けて超高齢化社会に突入しつつあるわが国では、今後、ますます増加・多様化が予想される医療ニーズに対して、医療の効率化・最適化を図りながら、予防医療・先制医療を実現するスマートなヘルスケアシステムに変革していくことが求められています。例えば、解読が完了して機能解析が進行しているヒトゲノムにおいては、遺伝子の特定の箇所における僅かな配列の違い(一塩基多型:SNP)が疾患の発症リスクや薬剤の感受性に関与していることが明らかになってきています。個人のSNP情報に基づいた「テーラーメイド医療」の重要性が謳われて久しいですが、誰もがSNP診断を受診することのできる簡便で安価なデバイスは未だに実現していません。私たちの研究グループは、人工材料と生体材料を化学のチカラで融合したバイオ機能材料の開発と評価に関する研究を通じて、次世代医療の課題にも挑戦しています。