非加法的測度に関する最近出版された論文。数学研究の競争相手は世界中の研究者。当然、論文は英語で執筆される
論文作成時の研究ノート。一つの論文を完成するには、論文ページ数の数百倍の研究ノートが必要となる
この世の中には2種類の俗に言う「不確かさ」があります。一つは「桜の花が綺麗」だとか、「あと数分で駅に着く」などの言葉や行動がもつ「曖昧さ」、もう一つはサイコロ投げや、株価の変動に見られる偶然性に伴う「不確実さ」です。「曖昧さの数理」と「不確実さの数理」は、これらの言葉、行動、偶然性に潜む「いい加減さ」を、数理科学的に測定するにはどうしたらよいかを研究する学問分野です。 河邊研究室では、非加法的測度や、ベクトル測度を用いて、「不確かさ」を測るための数学的基礎理論の確立を目指して日々研究しています。
非加法的測度論は、不完全な情報のもとでの人間の行動を数理的に解明するための期待効用理論や、株価や為替の変動の解明を目指す金融工学の分野で盛んに応用されています。また、ベクトル測度論は、自然現象や社会活動を無限自由度をもつシステムとして解析する際に必要不可欠な数学的道具の一つです。河邊研究室の学生たちは、教員と一緒に、新理論の開発を目指し、日々研究を続けています。
情報関連企業、金融、運輸、公務員、数学の教員など、就職先は多岐にわたります。特に、各自の専門知識に加え、数学の研究を通じて培った論理的思考方法を身につけた学生が企業に好評です。