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自然現象や人間の行動に潜む 『曖昧さ』や『不確実さ』を測る

非加法的測度に関する最近出版された論文。数学研究の競争相手は世界中の研究者。当然、論文は英語で執筆される

論文作成時の研究ノート。一つの論文を完成するには、論文ページ数の数百倍の研究ノートが必要となる

この世の中には2種類の俗に言う「不確かさ」があります。一つは「桜の花が綺麗」だとか、「あと数分で駅に着く」などの言葉や行動がもつ「曖昧さ」、もう一つはサイコロ投げや、株価の変動に見られる偶然性に伴う「不確実さ」です。「曖昧さの数理」と「不確実さの数理」は、これらの言葉、行動、偶然性に潜む「いい加減さ」を、数理科学的に測定するにはどうしたらよいかを研究する学問分野です。 河邊研究室では、非加法的測度や、ベクトル測度を用いて、「不確かさ」を測るための数学的基礎理論の確立を目指して日々研究しています。

研究から広がる未来

非加法的測度論は、不完全な情報のもとでの人間の行動を数理的に解明するための期待効用理論や、株価や為替の変動の解明を目指す金融工学の分野で盛んに応用されています。また、ベクトル測度論は、自然現象や社会活動を無限自由度をもつシステムとして解析する際に必要不可欠な数学的道具の一つです。河邊研究室の学生たちは、教員と一緒に、新理論の開発を目指し、日々研究を続けています。

卒業後の未来像

情報関連企業、金融、運輸、公務員、数学の教員など、就職先は多岐にわたります。特に、各自の専門知識に加え、数学の研究を通じて培った論理的思考方法を身につけた学生が企業に好評です。

 河邊 淳 教授 Link

東京工業大学大学院理学研究科博士後期課程を修了後、信州大学にて、講師、助教授を経て、2003年より現職。研究分野は、非加法的測度論(ファジイ測度論)やベクトル測度論、非線形積分論(ショケ積分論)など。

【先生の学問へのきっかけ】
数学が好きになったのは、高校1年生の秋です。文化祭でシェークスピアの四大悲劇「リア王」をどうにか演じ切った後、次の目標を見失っていたとき出会ったのが数学でした。数学を勉強していて、何でこんな定理や証明を発見できるのかと不思議に思うことがあるでしょう。それは教科書で勉強しているのは完成された「芸術品の数学」だからです。数学者が日々研究しているのは「玉石混淆の数学」です。研究の過程では、試行錯誤を繰り返し、何度も失敗を重ねながら、ただの石を捨て、ダイヤモンドとなる数学の原石を見つけ出します。数学の醍醐味は、玉石混淆の中に至極の一品を探し求め、それを研ぎ澄まされた芸術品に仕上げる創造者としての達成感を味わえることにあると思います。

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