平成14年度修士論文
 張 穎

重慶市の都市環境の実態に関する研究
〜環境騒音の実測を中心にして〜


研究背景と目的

 中国は経済の近代化が進むなか、農村経済の改善が重大の課題となっている。農村人口の65%は中西部に集中している。そうしたなか西南部に位置する重慶市は、四川省の成都市や陜西省の西安市と並び急激な都市開発が行われている。90年代末に、江沢民主席が「西部大開発」を唱え、その後、大規模なインフラ整備や都市建設を進めているものの、最終的な成果が現れるのは数十年後と考えられている。 重慶市は、世界最大の三峡ダムの建設を契機に97年に四川省から分離し、北京、上海、天津に次ぐ第4番目の直轄市(日本の「都」に匹敵)に昇格した。総人口は約3千人、面積は約8.2万ku(日本の北海道に匹敵)。中心市の都市部は569万人の人口を抱える。
 重慶市は、長江沿岸、中国西南部の交通の要衝として発展してきた。第二次世界大戦中、国民党政府の臨時首都設置に伴う軍需産業の移転を背景に重工業が発展した。現在、中国一の生産を誇るオートバイと三位の自動車を中心に西部の代表的工業都市として発展している。とはいえ、都市化が進むなか、環境問題が深刻化しつつある。産業活動の活発化等に伴い酸性雨がしばしば観測されている、自動車の増加により大気汚染、環境騒音問題がひどくなるとみられている。
 重慶市ではこうした環境問題に対処するために重慶市環境科学院や重慶市環境観測センターを設立して、都市環境の把握、解析、改善を行ってきている。しかし、たとえば環境騒音のデータが不足している。そこで、本研究は、重慶市で環境騒音、大気質などの実測調査を行い、都市環境の概略を把握し、問題点の抽出、改善策を提言することを目的とする。





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