近年、日本では環境問題が数多く取り上げられ、住環境におけるエネルギーの利用や屋外温熱環境に対する意識は高まっている。しかし現状は、地域の気候特性を考慮して計画されていないことや、居住者が認識していないことが多い。日本の環境工学の分野で、このような問題点を解決するために注目されているものが、住民や行政等、多主体参加型の「ワークショップ」であり、この際に利用される共通の資料が「都市環境気候図」である。 長野市でも2005年に「気候に配慮した長野市のまちづくり」ワークショップが開催され、地域の背景と気候を踏まえ、都市環境気候図の実用化を目的に、地域住民や都市計画担当者、建築関係者等で長野市の将来像を作成している。しかし、このときは作成した長野市の将来像をその成果として行政に提示することを目的としていたため、クリマアトラスを構成する項目の一つである「気候解析図」が作成されておらず配布資料にまとまりがなかった。さらに、参加者に対して行ったアンケートの中には、配布資料に対してより詳細な気象データの提示を求める意見があった。 本研究では、「気候解析図」を作成し、情報を分かりやすく提示する。さらに、それを利用したまちづくりワークショップを開催し、その評価を行うことを目的とする。 |