近年の都市の暑熱化に伴い、都市環境および建築環境に関する研究が数多く行われている。地域の気温や風、放射熱を調整する努力や、建築外形の検討や周辺建物による建築内気候への影響についての研究が進んでいる。これらの手法を有効活用するために地域の気候環境を定量的に把握する必要がある。長野市においては、山風を都市環境の改善に利用する研究は進んでいるが、都市レベルでの風環境計画に基づく室内環境までを扱った研究はみられない。本論では建物内の風環境に関する検討を加え、都市的な気候資源を活用した設計手法を検討するとともに、実在市街地での屋外気流と室内通風の関係について検討し、実在市街地において都市的な気候資源を活用した設計手法を提示することを目的とする。 |