平成22年度修士論文
 名本 祐太郎

数値解析による街区構成要素が大気顕熱に与える影響の定量的把握


研究背景と目的

 2004年3月に政府決定されたヒートアイランド対策大綱においては、地表面被覆及び都市形態を改善することが、主要な熱環境対策の一つとして挙げられている。こうした熱環境対策を推進していくためには、まず対象となる都市における熱環境の形成要因を把握することが重要であり、これまでも多くの研究がなされている。しかし、このような調査・研究は大都市圏におけるものが中心である。また、夏季を対象にした研究が多く、気温変動の大きい秋季・春季における実在街区を対象にした現状把握の研究は数少ない。また、都市熱環境改善策として、都市計画の段階から気候に配慮したまちづくりを行うことが重要であるとされている。これら都市計画に役立つ資料として都市熱環境形成に与える影響を定量的に分析する必要がある。
 本研究では、夏季及び秋季の長野市市街地を対象に実測調査と数値シミュレーション解析を通して熱環境の実態把握を行うこと、都市を形成する全表面から放出される大気顕熱に着目し、都市を構成する空間形態・地表面被覆・建物素材等が都市熱環境に与える影響を詳細に把握し、影響度の大きい要素を定量的に把握することを目的とする。
 実測調査では気温・表面温度の調査、数値シミュレーション解析で表面温度分布を算出、さらに評価指標としてヒートアイランドポテンシャル(HIP)・MRTの算出を行い、これら評価項目と都市を構成する要素との相関関係の分析を行う。  





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