近年、事務所ビルでは空調や照明等による昼間の消費電力量が増加している。ピーク時の消費電力量を削減するために、深夜電力を使い夜間に蓄熱、蓄冷(蓄熱)するための様々な蓄熱空調システムが開発、利用されてきているが、躯体蓄熱においては、気密性・断熱性の確保が難しい鉄骨造の事例は少なく、有用性を検証する必要がある。また、熱負荷予測は様々な手法でされているが、その基となる蓄熱特性を把握することは十分とはいえない。そこで、西川らによって外部や非蓄熱エリアの天井内に、空気や熱が漏出しないよう施工をした鉄骨造の建物で実測調査を行い、躯体蓄熱空調システムの有用性と室内環境評価を行った。また、CFD解析で現状と条件を変えた場合のシミュレーションを行い、実測調査では不十分な蓄熱特性の把握をしている。本研究では、主な目的を熱流体解析モデルの改善とし、設計時に予想される条件で解析を行い、計画段階において効率的なシステムを設計できるような基準を構築し、最適設計手法に反映する。また、採熱時においての解析モデルを作成し、条件を変え解析を行うことで効率的な蓄熱状態を検討する。さらに、実測調査を行い、最適運転手法も検討する。 |