近年、ヒートアイランド現象などの熱環境の悪化は、大都市だけでなく地方の都市部にも顕著にみられるものとなった。このような都市熱環境の改善には、都市計画の段階から気候に配慮した街づくりを行うことが必要であるとされている。しかし、地域の気候特性を考慮して計画された例は稀であり、多くの居住者も認識していないのが現状である。また、本研究の対象とした街区は、2007年滝澤らが行ったワークショップにより、長野市中心市街地の中でも特に駐車場面積が多く、緑被が少ないとの意見が多く出た場所であり、熱環境の悪化が懸念される地域である。その街区を対象として、2008年に藤原らが詳細な熱環境の現状把握を行った。その際に、風環境の詳細な把握が必要であるとしている。本研究では、長野市市街地における風環境の把握として、環境の悪化が懸念される街区での気候解析図の作成と、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)を用いた風環境の現状把握を行い、これからのまちづくりを考える上でより詳細な街区での風環境の特徴などを抽出することを目的とする。 |