近年、都市環境の高温化が問題となっている。特に都市部において起こる局地的な温暖化現象であるヒートアイランド現象は都市域における重大な環境問題である。ヒートアイランド形成の要因として、緑地・水面等の自然表面の減少及び建物・道路等の人工物の増加など「土地被覆の改変」が挙げられる。 既往の研究1)より、気象観測点周辺の土地被覆状況の違いによって、観測点周辺に気候変化が生じることが報告されている。本研究室では、全国6地域226気象観測点における土地被覆状況の変化を把握し、気候変化との関係性を捉えるため、具体的な土地被覆状況の解析が可能であり、均一の条件下で広域を観測できるリモートセンシングを用いた解析を行ってきた2)。しかし、これまでの解析では分解能30mのLandsat衛星を使用しているため、詳細な解析は行われていない。 そこで本研究では、土地被覆の変化と気候変化の関係に特徴のあった気象観測点を対象に分解能10mのALOS衛星データを使用して、より詳細な解析を行うことで、土地被覆状況の変化が及ぼす気候変化への影響を検討することを目的とする。また、気候変化には地域的な差があることが分かっているため、地域的な特徴を地理的特徴に置き換えて、気候変化との関係性も検討する。 |