現在までに、本研究室では実測調査を通じて騒音、微気象、植生量などの都市環境について明らかにしてきている。こうした一連の研究にて、自動車交通が都市環境に与える影響が大きく、交通量、大型車混入率、平均速度、加減速、渋滞状況などの交通に関する因子が道路周辺の環境に影響を及ぼすという事を明らかにしてきた。
実測の結果から速度と交通量の関係を探れば、自動車は交通量が少ないときは法定速度あるいは法定速度プラス10km/h程度で走行しているが、交通量の増加とともに平均速度は下がり、道路の状況により差はあるものの、おおよそ速度30km/h程度で渋滞が始まる。そして、渋滞が始まるとともに交通量は低下することが分かっている。騒音の面から言えば、法定速度程度で走行しているときは自動車から発生する騒音は大きく、逆に渋滞時は走行速度が低いため騒音は低下する。しかし大気質を考えると、法定速度で走行しているときはエンジンの燃焼の最適域であることが多く、排気ガスに含まれる汚染物質は比較的少ないが、渋滞時になると排気ガス中の汚染物質量が増加し、周囲の環境に対しての悪影響が予想される。
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