近年、化石燃料大量消費などによる地球温暖化等の環境問題が深刻化している。地球温暖化の防止策として、需要面で言うと省エネルギー推進であり、供給面では地域共生型の新エネルギーの積極的導入であると考えられる。長野市においても住民の『環境負荷低減』の意識が強まっており、省エネルギーやリサイクルと共に、新エネルギーの導入に関心を持つ人が増えている。しかし、個人での新エネルギー導入に向けた指針が無いためメーカーデータや販売店での経験をもとに推測して、導入を決めているのが現状である。そこで、こうしたエネルギーの導入を検討するための基礎的データの提供は有意義であると考えた。長野市における身近な自然エネルギーとして、風力・小水力・太陽エネルギーが考えられる。 風力に関するデータとして一般に公開されているものは、長野地方気象台の観測データやNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の風況マップなどがある。気象台のデータは長野市全域のデータとは言えず、NEDOのデータに関しては大型風車を対象としたデータであり、地上30mから70mの高さを想定しており、個人での導入に適さない。 小水力を利用した発電に関しては規制が厳しく敬遠されがちであるが、長野県大町市のNPO『地域づくり工房』では国土交通省に申請し、水力発電を行っている。長野市においても小型水力発電の可能な場所とその発電能力を把握する必要がある。 太陽エネルギーを利用する場合、その地域における具体的な日射の状態を把握していないと、太陽エネルギーによって得られる期待量が予測できない。特に長野市では、中心商業地区内にも木造の民家が多数あり、高層建築物等による陰影の影響を考慮した日射量を把握する必要がある。 そこで本研究では、風力と小水力の実測調査と都市の陰影を考慮した日射量の解析を行うことで風力・小水力・太陽光発電及び熱利用についての新エネルギーポテンシャルを把握し、個人での新エネルギー導入に向けたデータを作成することを目的とする。 |