自動車による大気汚染は深刻な問題の一つとなっている。そのため自動車の排ガス規制、環境負荷低減のための交通流制御による渋滞緩和などの方法がとられている。しかし問題の解決にはほど遠い状況である。そのため、交通流や気候と大気汚染濃度の関係を把握することは効果的な交通流制御を考えるうえで重要であり、シミュレーションは交通流制御を行う上で非常に有効な手段と考えられる。既往の研究により、自動車の走行に係るCO濃度・NOx濃度といった汚染物質の濃度予測手法が確立されて来ている。しかし、シミュレーションを使った大気汚染濃度の短期予測を行っている例は少ない。本研究では道路交通環境の現状を把握しその実態を分析・評価するために、実測調査を行い、大気汚染物質であるCO濃度の変化が交通流や気候の変化からどのような影響を受けているのか分析する。その結果を踏まえた上で、道路交通環境をシミュレーションする交通マイクロシミュレーターWATSim(以後WATSimと呼ぶ。)の再現性を検証し、WATSimを使い大気汚染濃度の短期予測を行い、その予測手法の有効性を検討する。 |