画像の情報を識別を用いて表現すると、白黒の濃淡で表現されたもの以上に、人間は画像から多くの情報を得ることができる。これは、人間の視覚において濃淡レベルの差異の検知能力よりも、色の差異の検知能力のほうがはるかに優れていることによるもので、一般に、濃淡レベルで16〜24段階、色彩では数百段階以上のレベルの差異が分類できることは前述した通りである。
このような色彩の性質を利用して衛星データを取り扱う場合には、画像をカラー合成して擬似カラー表示することがよく行われる。このカラー合成には大きく分けて、前述した単バンド濃淡画像を色彩で表現するシュードカラー法と複数の単バンド画像をRGB合成するフォールスカラー法の2つがある。ここでは後者の方法についてその概念を整理する。
いま、同一地域を複数のバンドで同時に収集した画像に対し、互いが異なった情報を有する複数の画像をフィルタ等を用いることで、それぞれの異なった色に着色した後に合成した画像を作成することをフォールスカラー法といっている。したがって、フォールスカラー法は画像間の相対関係を色の変化に変換することにより表現するものであるといえる。このフォールスカラー法において、特定の色の組合せを行うための画像の選択には必ずしも決まった法則はなく、まして、必ず赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を用いる必要もない。ただ、色の選択にあたっては、当然ながら強調しようとする対象物の色が最もよく変化するように選ぶことは重要である。
通常、フォールスカラー画像を表示するにはn個のバンドを有する画像情報X、
X=(X1、X2、X3、・・・Xn)
より、色の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する三刺激値IR、IG、IB、
IR=R(X1、X2、・・・Xn)
IG=G(X1、X2、・・・Xn)
IB=B(X1、X2、・・・Xn)
を求め、この三刺激値でもって色彩を有する画像を表示することによりフォールスカラー画像を得る。一般には、フォールスカラー画像の作成にはカラーディスプレイ装置とフォトプリンタが利用される。前者の場合、カラーディスプレイ装置が内臓してある4つのメモリー(1,024×1,024×4または512×512×4)のうち3つのメモリーへ任意の3つの単バンド画像を入力し、個々にR、G、Bのフィルタをかけてフォールスカラー画像を得る。一方後者の場合は、合成しようとする3つの単バンド画像をBILフォーマット(Band Interval by Line:CCTフォーマットの1つ)に変換した後、フォトプリンタが保有する機能(カラー合成機能)を通して出力するとフォールスカラー画像が得られる。
一般にフォールスカラー画像には次に示す3つの種類がある。なお、MOS−1/MESSRでは青色に相当するバンドがないためにトゥルーカラー画像が作成できない。