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お知らせ詳細

教育学部友田義行助教が第18回日本比較文学会賞を受賞しました!

    

友田義行 助教

教育学部友田義行助教が平成25年6月15日に日本比較文学会全国大会(於名古屋大学)で第18回日本比較文学会賞を受賞、同日授賞式がありました。

友田助教が2012年2月に刊行した単著『戦後前衛映画と文学―安部公房×勅使河原宏』(人文書院)が、優秀な業績として認められました。

 

日本比較文学会賞は45歳以下の日本比較文学会会員が刊行した「比較文学・比較文化に関する新進学徒の最優秀の研究書」に贈られるものです。

 

 

◇受賞式で選考委員長から以下の選評を得ています。(抜粋)

 

1、文学の隣接領域としての映像を対象とし、両者の比較に取り組んだ受賞者の研究は文学研究で培われてきた詳細な資料調査と、映画研究の成果を踏まえた映像・音声分析とが融合されており、言語と映像の比較研究の高度な達成を示すものである。

 

2、安部公房の未発表映画台本を始めとした一次資料を発掘しただけでなく、それらに詳細な分析を加え、論述に活用している点は高く評価できる。

 

3、一部難解な記述も見られるものの、小説・映画・写真など異なるジャンルの作品を、瑞々しい文体で論じた点は評価できる。

 

4、安部公房・勅使河原宏の作品は各国で翻訳されている。受賞者は、十全とは言えないものの、海外での安部・勅使河原研究も取り入れており、世界文学(映画)のなかの安部・勅使河原を把握しようとした点は評価できる。

 

 

◇受賞に至ったエピソード・今後の展開を友田助教に語っていただきました。

 

(以下メールの引用です)

『戦後前衛映画と文学―安部公房×勅使河原宏』は、2007年度に立命館大学大学院文学研究科へ提出した博士論文『文学と映画の弁証法―安部公房/勅使河原宏論』に、大幅な加筆訂正を加えたものです。

 

日本の戦後アヴァンギャルド運動を先導した二人の芸術家、作家・安部公房と映画監督・勅使河原宏による協働(コラボレーション)を詳述しました。

安部公房と映画の関わりについて本格的に論じる初の試みであると同時に、勅使河原宏の映画を総括的に捉えようとする研究としても初めてのものです。

 

方法として、小説・脚本・映画・写真といった言語表現と映像表現を往還的に読解することを試みており、各テクスト単独では見えにくかった解釈を抽出しています。具体的には、『おとし穴』『砂の女』『他人の顔』『燃えつきた地図』といった作品を分析し、安部・勅使河原の創作理論と表現との関係を解きほぐしながら、時代背景との連関や、二人に共通/相反する思想を探求しました。

 

本書の執筆に先立ち、十年近くに渡って、草月会館資料室での調査を継続してきました。安部公房の未公開原稿や、勅使河原宏の写真・挿画作品、関係者からの聞き取りなど、一次資料・情報の発掘に努め、論述に反映させています。

その中には、博士論文提出後に発行された『安部公房全集30巻』(新潮社)にも収められた、『砂の女』の未公開シナリオなど、重要な作品も含まれています。

 

戦後前衛芸術運動を背景/前景にしながら展開された二人の協働を追うことは、ネオリアリズモやヌーヴェルヴァーグといった海外の芸術表現・思想と、日本の芸術・政治との相関を追うことでもあります。ジャンルと国境を越えた二人の仕事を追うために、私も異なる研究領域や対象と格闘することとなりました。そうした取り組みが比較文学研究の成果として認められたことは望外の喜びです。

 

今後は「言語と映像の比較」あるいは「安部公房と勅使河原宏の協働」を軸にしながら、対象とする作家や時代を広げていき、総合的な戦後表象研究へと展開することを目ざします。

現在取り組んでいるのは、大阪万博で上映された『1日240時間』という映像作品の復元と分析です。これは安部公房が脚本を書き、勅使河原宏が演出した作品ですが、万博閉幕後は再上映される機会もなく、眠ったままになっていました。

このたび、財団法人草月会や元勅使河原プロダクションのスタッフ、そしてIMAGICAウェスト社に協力を仰ぎ、アナログ(フィルム)からデジタルへの変換プロジェクトを進めています。「幻のフィルム」に再び光を取り戻したいと願っています。(以上)

 

 

☆学会賞受賞おめでとうございます。

眠ったままの幻のフィルムの復活、楽しみです。

戦後前衛映画と文学―安部公房×勅使河原宏
(人文書院),友田義行

友田助教へ贈られた賞状

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