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榊原保志(特任教授)

榊原保志(特任教授)
信州大学学術研究院教育学系 理科教育グループ 教授
専門分野:地学教育、気象学
研究テーマ:
  • 地学の教材開発・指導法の研究
  • 開発教育(発展途上国における理科教育。現在カンボジア理科教育改善プロジェクトの地学教育担当として兼務)
  • 地域の気候・気象学

研究室概要 榊原研究室

気候・気象学および地学教育をテーマにしています。

地学教育

牛乳パックを利用した気温測定装置

牛乳パックを利用した気温測定装置

小学校の学級担任として理科を教える教員で、理科全般の内容の指導が「苦手」か「やや苦手」と感じる割合が約5割にのぼります。理科の中でも地学はその傾向が強く、中学校理科教員では、地学分野についての同割合が最も高く約4割とされます。その原因の一つに、地学現象は実験室で子ども達に容易に見せられない現象が多く、よい教材や指導法の開発が求められています。
本研究室では、小学校、中学校、高等学校という学校現場にでかけ、現場教師に聞き取り調査を行い、身近なものを利用した教材や指導法の開発をしてきました。教材や指導法の評価も大切で、実際に教育現場で授業実践を行い子ども達の反応に基づき、改良を重ねてきました。
その成果の一部は、教員免許更新講習、都や県の教育センターで行われた教員研修会および以下の書籍で紹介されています。
  [主な著書]
  山崎良雄・榊原保志編著,2006,学力向上につながる理科の題材,東京法令出版.
  榊原保志・山崎良雄・熊木 徹編著,2008,中学校理科の教材開発・授業プラン 生物・地学,学事出版.
  熊木 徹・榊原保志・藤井健司・吉田俊久編著,2009,中学校理科の教材開発・授業プラン 物理・化学,学事出版.
  分担執筆,2010,実験で実践する魅力ある理科教育小中学校編,オーム社.

地域の気候・気象学

長野市市街地における山風発生夜間晴天日の風向頻度分布

長野市市街地における山風発生夜間晴天日の風向頻度分布

長野県は山が多く地形が複雑で、おもしろい気象現象が現れます。
人々が主に住む盆地では平野と比べ日較差が大きく、夏の日中は結構暑くなりますが夜間はエアコンなしでも過ごせます。その原因の一つに山谷風循環があります。日中は盆地底から山に斜面に沿って風が吹き、夜間は逆に谷筋を中心に風(斜面下降風、山風と呼ばれる)が吹き降りてきます。斜面で冷やされた空気の塊が相対的に重くなるので、斜面沿いに落ちてくるイメージです。その結果、盆地底は冷やされ、目には見えませんが冷気湖という冷たい空気がたまります。盆地底には一般に都市がありそこではヒートアイランドや大気汚染が発生します。このヒートアイランドや大気汚染を緩和するために山風を利用する都市計画はドイツでは多く行われています。このような特徴的な気象現象が見られる長野県では、このような局地的な気候気象研究は古くから行われてきました。
本研究室では、地域に根ざした気候気象現象を調べています。これまで研究室で取り組んだ場所は、長野市、松本市、上田市、中野市、須坂市、小布施町、白馬村、高山村などがあります。現在、須坂市より市誌編纂委員(気候/気象部門)を頼まれ、その一環で、卒業研究で須坂市の気候・気象の調査を行っています。
  [主な著書]
  分担執筆「内陸都市はなぜ暑いか」,成山堂書店,2010.
  分担執筆「気候のフィールド調査法」,古今書院,2005.

開発教育(発展途上国における理科教育,現在カンボジア理科教育改善プロジェクトの地学教育担当として兼務)

カンボジアで模擬授業を実施 左の人は生徒役となったカンボジアの専門家、右は模擬授業を行った榊原教授

カンボジアで模擬授業を実施 左の人は生徒役となったカンボジアの専門家、右は模擬授業を行った榊原教授

理科教育の専門家が国際協力の一環で理科教育改善関連のプロジェクトに関わることは今後増えていくものと考えられる。その際、「こうすべきである」「このような授業を目指すべきである」などのアドバイスしたとき、カウンターパートがすぐにその内容を理解し、その国でその方法を推進するなら問題ないであろう。ところが、文化・風習、教育制度等が異なり単純にはうまくいかない。この種の問題を上手に乗りえてきたプロジェクトもあると思うが、どのような問題があり、どのように対処すべきなのかということは体系化されているとはいえない。
国際協力機構(JICA)がカンボジア国において技術協力プロジェクトとして推進する「理科教育改善計画」プロジェクト(STEPSAM2)に参加し、カンボジアの理科教育の専門家の方に地学教育担当として研修を行いながら、うまい方法を探っています。
関連ニュース(JICAホームページ)