2階層メインイメージ
  1. HOME
  2. 研究室紹介
  3. 坂口雅彦(准教授)

坂口雅彦(准教授)

坂口雅彦(准教授)
信州大学学術研究院教育学系 理科教育グループ 准教授
専門分野:神経生物学
研究テーマ:
  • 神経系の構造と機能の解明
  • キイロショウジョウバエを用いた神経研究
  • 各種蛍光タンパク質と共焦点レーザー顕微鏡を用いたニューロンのライブイメージング
  • 酸に対する嗅覚の遺伝学的行動学的研究
  • FUMIEテストを用いた理科教育授業改善の研究

研究室概要 坂口研究室(動物生理学研究室)

当研究室は、神経系の構造と機能の解明を目指しています。概要は以下のとおりです。
さらに詳しく知りたい方は気軽に以下のメールアドレスにご連絡ください。

biologyアットマークshinshu-u.ac.jp
(アットマークを@に変換してください。ご返事が遅くなる場合もあります。ご了承ください。)

ニューロンの発生学的解剖学的ライブイメージング

坂口雅彦(准教授)

オワンクラゲから発見されたGFP(緑色蛍光タンパク質)、イソギンチャクから発見されたDsRed(赤色蛍光タンパク質)、ヒユサンゴから発見されたKaedeなどの蛍光タンパク質は、それらの遺伝子DNAを他の生物の染色体中に遺伝子組換え技術により人工的に挿入することができます。これらの蛍光タンパク質遺伝子の転写翻訳を、特定の発生時期に特定の細胞でだけ行わせることができるようになってきました。
これらの技術を使うと、生きている生物の特定のニューロンの神経突起伸張・回路網形成が蛍光像として観察できます。特に有望なのがKaedeです。Kaedeは青い励起光を照射すると緑の蛍光を放出しますが、Kaedeに紫外線を短時間照射すると、緑の励起光を照射して赤い蛍光を放出するように変化させることができます。Kaedeを発現している神経網の中の、少数のニューロンに紫外線を照射し、その照射時間を変えることにより、緑、黄、赤のように色の異なるニューロンを生きたまま追跡することが可能です。

ニューロンの生理学的ライブイメージング

ニューロンが興奮すると、一般に細胞内のカルシウムイオン濃度が増大します。その濃度変化をGFPとカルモデュリンというタンパク質を改変したGCaMPというタンパク質で検出できるようになりました。
GCaMPは緑の蛍光を放出するのですが、カルシウムイオン濃度が高くなるにつれてその蛍光強度が増大します。これを用いてニューロンの生理学的な研究を行うことができます。

キイロショウジョウバエの酸に対する嗅覚の研究

坂口雅彦(准教授)

キイロショウジョウバエは遺伝学的な技術の駆使できるモデル生物で嗅物質を識別できます。
嗅物質AとBを用いた実験で、嗅物質Aを電気ショックと組合わせて呈示した場合は嗅物質Aを避け、嗅物質Bの方に移動しますが、嗅物質Aを砂糖と組合わせて呈示した場合は嗅物質Aの方に移動するという記憶学習能があり、電気ショックとの連合学習にはドーパミンニューロンが、砂糖との連合学習にはオクトパミンが関係することが明らかになるなど記憶学習の最先端の研究も行われています。
私はキイロショウジョウバエがD乳酸とL乳酸を嗅覚として識別していること、乳酸、ピルビン酸、プロピオン酸の嗅覚情報経路が異なる可能性があること(OR経路かIR経路か)を明らかにしてきました。酸の嗅覚器での受容はIRという嗅物質受容体により媒介されると最近報告されたので、記憶学習も含めて嗅覚研究を行っていきたいと思っています。