無機化学の基礎となる諸事項および物質を構成する元素の一般的諸性質を周期表と関連づけて理解することを目指している。
学問の分野で完全な教科書を著すことが難しいように、すべての学生に満足のゆくような講義をつくることも甚だ困難であるとすれば、可能な限り満足度を感ずる学生の割合が高くなるよう、また、標準的な学生に無理なく理解でき、興味をもってもらえるような授業を心がけている。

今日の無機化学の講義内容にとって必要なことは、理論の発展を歴史的視座でとらえること、その理論に基礎をおく諸々の応用的内容とのバランスのよさであろうが、講義時間との兼ね合いで、「総論」的な部分（物理化学に関連の深い理論的内容を含む）が中心にならざるを得ず、「各論」的な部分（記述的、応用的な内容）は、その他の授業科目に頼っている。
毎回復習と予習を兼ねて「確認問題」なる課題を課し、stepwiseに理解が深まるよう工夫をしている。この講義を通して、化学の基礎的概念が身につくよう強く願っている。