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理科教育ブログ

伊藤先生(サバティカルリーブでフランスに滞在中)からのお便りです

2014.09.20 【 NEWS

サバティカルリーブでフランスに滞在中の伊藤先生からお便りが届きました。
フランスでの高等教育について詳しく紹介していただきました。
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5月9日から10月30日の間,フランスのEcole Normal Superiure de Cachan(エコールノルマルシューペリウール,カシャン高等師範学校,ENS Cachan)で,光化学の研究と高等師範教育について実態を見学しています.
フランスの高等教育は大きく分けて,グランドエコール(グランゼコール,高度専門職養成機関)と大学(University)に大別されます.高校卒業時にバカロレアという資格試験(ナポレオンが制定)をパスした後,いずれかに進学するかを決めます.大学へ進学する場合は,バカロレアの試験結果に基づいて進学先が決まりますが,グランドエコールを選択する場合,まず準備学校へ入学する必要があります.この試験はかなり難関であり,また準備学校から本校へ進学する際にも試験が課されるそうです.準備学校から本校へ進学するときに課される試験の一つであるTIPEを見学しました.これは,準備学校で各自が取り組んだ課題研究(物理・化学)について,そのレポートに基づき質疑を行うというものです.受験生もさることながら,試験官にも深い見識が求められ,圧巻でした.
ENSは,中等・高等教育機関での教員養成を主目的としています.日本でいう教員免許に対応するものとして,CapesとAgregasionという2種類の資格があり,後者は大学での教授資格も得られます.Capesは大学卒業程度,Agregasionは大学院卒程度の内容の深い理解が求められています.5時間にわたる筆記試験に加え,教授法試験や実験実技試験も行われます.
Agregasionの試験では,私の専門である光化学に関する内容も出題されていました.教授法試験では,講義を実際に行い,それに基づいて質疑応答を実施しています.(見学したものでは,遷移状態理論に基づいた化学反応に関する内容でした.)
組織の構成としては,同じ化学部門であっても,教育部門と研究部門がはっきりと分かれており,教育担当の教員と研究担当の研究員,そして両方を担当する教員,技術職員とさまざまなスタッフから構成されています.
研究部門では,主に光化学,光物理,電気化学,超分子化学などを中心に研究が進められております.オリジナルの測定装置も数多くあり,日本ではできない実験を行っています.
また,日本からもたくさんの研究者(先生方)や学生さんが訪問され,フランスのみならず交流をひろげております.
このように,文献や短期滞在のみでは得られない貴重な経験をさせていただくことができ感謝しております.IMG_2330.jpgIMG_3190 (960x1280).jpgのサムネール画像のサムネール画像

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