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実証・逆引きカリキュラムC

実証・逆引きカリキュラムC

STORY3. 公務員を目指す 横田さんの場合

写真:経済システム法学科4年 兵庫県出身 横田さん

NGOやNPOという言葉を聞いたことがあると思います。ボランティアではよく聞かれる言葉です。私がボランティアに関心をもったきっかけ…それは「阪神大震災」でした。
私はいわゆる県外生(※1)で、兵庫県西宮市の出身です。あの日のことは今でも鮮明に覚えていて、この先も忘れられない経験をたくさんしました。全国的には、報道されていなかったようですが、市民レベルの支援は、ほんとうにどれだけ多くの被災者を救ったことでしょうか。しかし、一方で日本のボランティア支援の脆弱さを浮き彫りにしたことも地元では有名です。実際にそこにいた私でも、その脆さを感じたことは多々ありました。全国各地から寄せられる救援物資を被災者が本当に必要な時に与えることができなかったこと、学校などに集っている被災者たちばかりに目がいって、半壊の家の中で電気もガスもないまま、またガス漏れのため火をおこして暖を取られない状況の被災者には、支援の手が差し伸べられなかったこと。


すべてのことに対して、地震の前と同じ環境を用意することは無理なのはわかりますが、あまりにもお粗末だったと思いました。でも、そんな中でいち早く日常レベルの生活支援をしていたグループはなんと学生のグループだったのです。私は彼らからおにぎりやお菓子、水を与えてもらいました。その出来事は私に大きな力を与えてくれたと思っています。
そんな民間活動を行政レベルで支えることができないだろうか? どうすれば行政と民間がバランスよく、お互いの長所を発揮できるだろうか? そんなことを高校の時から考えはじめた私は、自然と公務員志望へ傾いていました。そうなると大学を決める時も、法律・政治の勉強ができるだけでなく、ボランティア活動にも理解ある大学を探しました。その結果、信州大学経済学部の経済システム法学科を選んだのですが、長野県は比較的老人も多い県だし、ボランティア活動が浸透していて、まさしく自分にピッタリの大学でした。実際に入学してみて、この経済システム法学科には、まだまだうれしい誤算がたくさんありました。


1年生の時は、ここ信州のことを少しでも知ろうと共通教育科目で「信州の近代化」や「信州の自然」といった科目を意識的にとりました。2年生になると専門の科目の勉強が本格化してきましたが、中でも「行政法」の授業は本当にためになりました。今までNPOやNGOといった団体もただやる気のある人が集って頑張ればいいんだと思っていたのですが、実際に世の中でうまく機能していくには‘法人格’と呼ばれるものが必要だということ、NPOのような団体がその法人格を与えられたのは長い法の歴史の中でごく最近であることを知り、あらためて法律を学ぶことの重要さを教えられました。また、法学・政治学ゼミと並行して、先輩から教えてもらった「スポーツゼミ」をとりました。このゼミでのお気に入りは、学生の自主的運営ということと、野外活動のフィールドワークを通じて団体の中での自分のポジションや人間関係を学べるところでした。


入学前からの希望だった「ボランティア実習」には、2年生の時にはじめて参加しました。その時は右も左もわからないことだらけでとても苦労しました。ボランティア実習は大町市の老人福祉施設で行いました。いろいろな経験や苦労がありました。例えば、「語らい」といわれる老人(要介護者)とのコミュニケーションを始めにとりながら、信頼していただき、そこからさまざまな介助をしていくのですが、この「語らい」がなかなかうまくいかないのです。優しく接して下さる方もいますが、中には痴呆のかたもいらっしゃいます。TA(※2)の先輩や高年次の先輩のやり方を真似てみると、どうにか体裁は整ってきました。次第に慣れてくると、1年生の時にならった信州関係の知識が大いに役立ちました。大町市は白馬のすぐ近く、北アルプスを眼前にした景色はとても素晴らしいところで、その山の話をすると、要介護者達はすごくうれしそうにいろいろな白馬の自然のことや昔の信州の暮らしのことなど教えてくれました。このボランティア実習の体験は、私により強く行政職に対する進路を意識させるものになりました。


3年生になると、夏休み明けぐらいから、公務員試験の準備が必要だと言われました。そこで公務員試験の問題集を買って中を見てみると、なんと! 経済学の問題もあったのです。経済学なんて、全然勉強していない。でも、信大経済の経済システム法学科では法律科目はもちろんのこと、経済科目も履修することができるので、3年生になってから、「マクロ経済学」「ミクロ経済学」の経済学科の講義をとりました。このときは信大経済でよかったとほんとに思いました。猛勉強しなければいけないと思って、一人暮らしの学生はほとんどしているアルバイトもやめました。せっかく経済科目も履修できるので、2年生のうちに公務員試験を意識した履修をすればもう少し楽ができたのに…と少々後悔しています。


3年生はゼミの中心メンバーですから、ゼミでの発表も頑張ってやりました。公務員を目指している友達も多く、彼らと国家公務員と地方公務員の違いを議論したり、役割の確認をしたりすることで、自分の進むべき道を再確認できたのは、くじけずに頑張りを継続するいい刺激になりました。ゼミの友達には、弁護士や企業の法務の実務担当者の方々からお話が聞ける現代法務の講義を受講してから信大の法科大学院に進学しようとがんばっている友達もいて、私よりも勉強をかなりがんばっているみたいなので、私も負けないようにがんばらないと。


また、これからの公務員は語学力も重要と考えていたのですが、信大経済では、語学の講義が充実していて、能力別のクラスはもちろんのこと、TOEICが最低でも150点伸びるといった具体的な目標を掲げていて、英語を履修している経済学部生は全員TOEIC受験し、英検準2級しか持っていない私には好都合でした。3年生までにTOEIC850点を目指そうと決意し、とことんカリキュラムの利点を活かそうと考えて、「英語文献研究」や「中・上級英会話」も取ることにしました。
阪神大震災は、わたしの人生の中で大きなターニングポイントになっていますが、そこでの決意を後押ししてくれる信州大学経済学部という環境を見つけられたのは本当によかったと思います。


※1)県外生: 信大では、長野県出身者以外の学生のことを「県外生」、長野県出身者のことを「県内生」と呼びます。

※2)TA : ティーチングアシスタントのこと。ボランティア実習を過去に履修したことのある4年生や大学院生が務めます。

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