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藤澤 勝博 先生(厚生労働省 政策統括官)の講義が行われました

藤澤 勝博 先生(厚生労働省 政策統括官)の講義が行われました

2018. 05.02

  • 現代産業論

 平成30年5月2日、平成30年度現代産業論 (産業論特論) 第2回の講義として、厚生労働省 政策統括官 藤澤 勝博氏から「「働き方改革」について」と題して講義が行われました。

 最近の経済・雇用情勢を概観すると、近年、我が国の経済全体は回復軌道にあり、雇用情勢については正社員の有効求人倍率が史上最も高い水準になるなど、着実に改善が進んでいる一方、今後は少子高齢化の進展に伴い生産年齢人口も就業者数も減少が続いていくことから、中長期の構造的な課題にも対応していく必要があると解説してくださいました。

 平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」では、女性も男性もお年寄りも若者も障害や難病のある方も家庭や職場、地域等あらゆる場で誰もが活躍できる、いわば全員参加型の一億総活躍社会を創り上げることが謳われています。この一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジである「働き方改革」は、ひとりひとりの意志や能力、置かれた事情に応じた多様な働き方の選択を可能とするため、働く方の視点に立って行う改革であると、この改革の意義について述べられました。

 この5年間のアベノミクスは賃上げの実現や正規雇用の拡大など、大きな成果を生み出しましたが、日本の労働制度と働き方には課題も多く、たとえば「正規、非正規の不合理な処遇の改善」や「賃金引き上げと労働生産性の向上」「長時間労働の是正」などが対応すべきテーマとして挙げられています。働き方改革実現のため、働き方改革実現会議での議論やロードマップに基づく長期的かつ継続的取組、フォローアップと施策の見直しなど、プラン実行のための概要についてお話いただいた後、①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、②賃金引上げと労働生産性向上、③長時間労働の是正、④柔軟な働き方がしやすい環境整備、⑤病気の治療と仕事の両立という5つのテーマを挙げられ、各々について現状と課題、改革の意義や今後の対応についてご説明いただきました。

 我が国雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者においては、人手不足解消のためにも改革の必要性があり、着実な実施のためには関係省庁や地方自治体等との連携、全国各地での意見交換会の開催など、きめ細かな支援体制の強化を検討していくこと、そのためのツールとして働き方改革支援ハンドブックや36協定などについてご紹介いただきました。

 人生100年時代を迎えるにあたり、一億総活躍社会をつくるためには生涯を通じていつでも有用なスキルを身につけられる教育の場の提供、何歳になっても学び直しができるリカレント教育が必要であり、特に正社員以外の教育訓練の重要性について説かれていました。
 
 最後に、AI等の技術革新の動向と労働への影響など、働き方を取り巻く様々な課題が山積するなか、労働政策審議会基本部会において議論も行われており、社会経済情勢の変化を踏まえ、求められる政策への取組を実施していかなければならないと強調され、講義を締めくくられました。

  • 厚生労働省 政策統括官 藤澤勝博氏
  • 講義風景

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