教員紹介

しらい じゅん

白井 純

日本語学 准教授

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キリシタン版

リオ本『日葡辞書』発見

『日葡辞書』とは

リオデジャネイロのブラジル国立図書館(Bibliotheca Nacional)において、2018年9月17日にサンパウロ大学のEliza Atsuko Tashiro Perez先生と共同で行った文献調査により、世界で4冊目のキリシタン版『日葡辞書』を発見しました。

キリシタン版とは、16世紀末から17世紀初めに日本で宣教活動を行ったイエズス会が出版した40点あまりの文献で、宣教を目的とする宗教書、宣教にあたって必要となる日本語を学習・教授するための語学書、日本語学習用のテキストとしての文学書がありますが、日本でのキリスト教禁教と弾圧によって殆どが消滅し、世界各地の図書館にそれぞれの文献につき数冊が残るだけの貴重な文献として知られています。

『日葡辞書』はローマ字表記の日本語に対してポルトガル語で注釈を付けた、収録語数32,000語に及ぶ当時の日本語についての最大の辞書で、日本語学、日本文学、日本史という研究分野にとって重要な文献ですが、これまで存在が知られているのは、オックスフォード大学ボードレー図書館(イギリス)、パリ国立図書館(フランス)、エボラ公共図書館(ポルトガル)の3冊でした。他に、マニラ本といわれる1冊が存在したという記録がありますが、現在行方不明です。

リオ本『日葡辞書』の意義

今回発見されたリオ本の重要性は、世界中に4冊しかない貴重な文献というだけでなく、南米ではじめて日本のキリシタン版が発見されたという事実にあります。

近い将来に論文として書きますので詳細は省略しますが、ポルトガルの植民地だったブラジルにはナポレオンの圧力を避けたポルトガル王室が避難し、その後、皇帝を戴く帝政を経て共和制に移行しました。
その時代に、多くの人や物が海を越えてヨーロッパからブラジルに至りましたが、そのなかに、日本からヨーロッパに渡ったキリシタン版があったのかもしれません。
また、日本で宣教活動を行ったイエズス会はブラジルでも活動しましたので、東洋での宣教の成果としてキリシタン版が持ち込まれた可能性もあります。
その他、日本から中南米を経由してヨーロッパに至る航路もありましたから、ヨーロッパを経由せず日本から直接キリシタン版が舶来したのかもしれません。

なぜ日本で出版されたキリシタン版がブラジルの図書館にあったのか。
その謎を解くためには、世界情勢をふまえたポルトガルやブラジルの歴史、イエズス会の宣教活動、国立図書館の設立とその後の経緯など、様々な点から考える必要があります。
『日葡辞書』だけでなく、他のキリシタン版が存在する可能性もあると思います。
今後は、ブラジルだけでなく他の中南米の国々にも調査に行ってみたいですね。

発見の反響

リオ本『日葡辞書』は各紙でも紹介されています。

サンパウロ大学新聞とニッケイ新聞は現地の新聞です。
中日新聞以下は共同通信の記事を利用しているので内容はだいたい同じです。

サンパウロ大学新聞(ポルトガル語)
https://jornal.usp.br/cultura/pesquisadores-da-usp-descobrem-dicionario-de-japones-do-seculo-17/

ニッケイ新聞
https://www.nikkeyshimbun.jp/2018/181010-71colonia.html

中日新聞 2018年10月21日 朝刊1面
ウェブ版:http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018102102000083.html

日経新聞 2018年10月22日 朝刊社会面
ウェブ版:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3674322021102018000000/

ほか、愛媛新聞、河北新報、宮崎日日新聞、京都新聞、熊本日日新聞、佐賀新聞、西日本新聞、中国新聞、長崎新聞、東奥日報、信濃毎日、信毎こども新聞(順不同)

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