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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

日本史 准教授

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歴史記録をいかしたまちづくりに向けて

歴史記録と地域公文書

大串研究室編『近現代安曇野の地域文化と平和文化』

  その日は朝から大雪でした。松本でも十数年ぶりの積雪となり、特急「あずさ」をはじめ首都圏・甲信越の交通はマヒしていました。   そんななか、2月8日、安曇野市「市民活動センター くりんひろば」(穂高)において「歴史記録をいかしたまちづくりにむけて シンポジウム 地域公文書の保存と活用」が行われました。   信州大学人文学部は、旧穂高町時代から安曇野市と協定を結んでおり、それにもとづいての共同研究・受託研究が行われてきています。日本史分野(特に近現代史)では、「近現代安曇野における地域文化と平和文化」と題して、安曇野地域の地域社会史や、平和運動・市民活動の歴史についての研究を行ってきました(報告書『近現代安曇野の地域文化と平和文化』2013年)。   穂高会館に所蔵されていた旧有明村役場・旧穂高町役場の行政文書(歴史的な公文書)は学生たちと一緒に目録・整理を行いました。つねひごろの学生によるゼミ活動の一環でもありました。   こうした研究成果をひろく安曇野市民に還元し、討論のひろばをつくるために今回のシンポジウムは開催されたのです。   

地域公文書の保存と活用

報告する瀬畑さん

  今回のシンポジウムは以下の趣旨で開催されました。 「…安曇野地域に暮らす人びとの歴史を考える「縁」になる地域の歴史記録(公文書など)をめぐる問題をとりあげます。急速に変化する時代のなかで、どのような「まちづくり」を目指すのか?そうした問題は過去の人びとの営みから学ぶ必要がありますが、そのための記録をどのように残し(保存)、地域の人びとの共有財産としていくのか(活用)、みなさんと議論したいと思います。…」(「シンポジウム」チラシおよび私の基調報告より)   シンポジウムは以下のテーマで開催されました。 ①大串潤児(信州大学) 「基調報告 地域公文書の保存と活用-安曇野地域史研究の活性化を目指して」 ②瀬畑源さん(都留文科大学非常勤講師) 「地域歴史遺産としての公文書を考える」 ③本島和人さん(飯田市歴史研究所 調査研究員) 「地域史料保存・活用の現場と地域史編纂-『飯田・上飯田の歴史』の経験から」   瀬畑さん、本島さんとも古くからの友人で、大雪の中参加者はあまり多くはありませんでしたが、有意義な討論が出来ました。

活溌な討論

報告する本島さん

  瀬畑さんの報告は、そもそも公文書はどのような存在意義があるのかという原則論から、安曇野市の文書管理についてのコメント、さらには公文書管理条例制定についての政策提言にまで及ぶものでした。特に、情報公開条例と公文書管理条例はセットで考えるべきものとの指摘、地域住民自らが「自治体行政を歴史的に検証する」ために公文書はあり、その結果「地域歴史遺産」となっていく、との指摘は大切でした。   本島さんの報告は、飯田市歴史研究所が編集した『飯田・上飯田の歴史』(上下巻、2012-13年)の編集作業を具体的に紹介するなかから、史料保存をどのように地域史編纂に結びつけるのかを述べたものでした。1つのテーマを記すのに、特に民衆生活に注目するとき、多くの断片的な記録をつなぎあわせて歴史叙述を行っていく。あたりまえのことですが、そのダイナミズムと、史料が保存されていることの意義を実感できたものでした。   討論では、(1)公文書保存・廃棄のための基準(ガイドライン)は設定した方がよいのか(-歴史学の立場からは「すべて残す」が理想的との意見も)、(2)その際、文書作成者が作成の時点で保存(年限)・廃棄を決めておくことの重要性、(3)公文書といった場合に、地域史研究のたちばからは単に役場行政史料のみではなく、学校や森林組合などの住民団体も「公」的存在なのではないか、などの議論が交わされました。市民の方からも発言があったことは嬉しいことでした。  また、安曇野市の那須野さんからは公文書整理の現状についての発言がありました。

報告者を囲んで…

  学生のゼミナールでもフィールドワークとして県内の博物館・資料館・文書館見学を実施しています。今回は、未整理のものから目録を作成し、さらに理論的にこうした史料のもつ意義を考える一連の機会ともなりました。   安曇野市における公文書の整理はまだこれからの現状ですが、歴史学の立場から何か役立つことが勉強できればと思います。   大雪のなか(帰宅困難者?となりながらも)報告して下さったお二方に御礼もうしあげます。雪をみながらの懇親会は久しぶりに熱い議論、そして楽しいものとなりました。また、お手伝い下さった安曇野市の関係者各位、ゼミ学生の小野さん、香鈴さん、浅田さん、そして参加して下さったみなさまに御礼申し上げます。   ※『市民タイムス』2014年2月9日付けが「公文書の保存方法考える」として記事にしてくれました。

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