教員紹介

おおぐし じゅんじ

大串 潤児

日本史 准教授

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こんなことしています(研究)

沖縄紀行 2013・秋

沖縄近代史の課題

宜野湾市博物館

  2013年9月20日から23日にかけて国立歴史民俗博物館の展示リニューアル委員の仕事で沖縄に行きました。   主な目的は宜野湾市立歴史民俗博物館(ちょうど県立公文書館との共同企画展を開催していた)などの地域博物館における展示の実際を調査し、あわせて特に沖縄近代史をめぐって地元の研究者と共同研究会を行うことです。リニューアルの重要な論点の1つが沖縄近代史をどのように描くか、という問題に絞られつつあるなかで貴重な研究会となりました。   「同化と異化の相克」として沖縄近代史をとらえること、移民史の方法(とくに社会的基盤とのかかわりで)、1920年代~モダン都市としての那覇、「旧慣温存期」から「ソテツ地獄」をへた沖縄県地域社会史(村落論)の構想など、とても興味ある、またたいへん難しい問題が議論されました。

大宜味村喜如嘉の史料を求めて…

福地曠昭さんと(一緒にいるのは荒川章二さん)

  同時に、私はいくつかの調査を沖縄で行うことが出来ました。1つは、8月にほとんど史料が存在しなかった沖縄県国頭郡大宜味村の史料について、大宜味村喜如嘉の昭和史である『村と戦争』の筆者・福地曠昭氏をたずね、いろいろとアドバイスを伺うことです。   福地さんは1931年大宜味村喜如嘉生まれ。『沖縄史を駆け抜けた男』(同時代社2000)という自伝がありますが、復帰運動や沖縄における人権擁護運動に携わってきた経験からする膨大な著作があります。氏の学問の特徴は何よりも多くの証言を集めて、ある意味では「埋もれた」、マイナーなテーマを-しかしそのテーマが非常に沖縄地域社会史をよく照らし出す-積極的に掘り起こしていったことにあります。   私も以下の著作で多くを学んで来ました。 ・『村と戦争 喜如嘉の昭和史』「村と戦争」刊行会1975 ・『沖縄の混血児と母たち』青い海出版社1980 ・『沖縄の被爆者』那覇出版社1981 ・『産婆さん』ひるぎ社1984 ・『沖縄女工哀史』那覇出版社1985 ・『鍬の戦士 農兵隊』那覇出版社1996 ・『沖縄のゆうれい』那覇出版社2000   福地さんはたいへんお元気で、快くご自宅に招いて戴きました。ひとしきり喜如嘉の昭和史を聞いた後、2Fの書庫へ。そこには『喜如嘉誌』を作った際に集めた史料が段ボール1はこ分あったのです(筆写も含む)。沖縄近代史を地域史の視点から考える、リニューアル委員会の仕事とも関連する大きな収穫でした。   ※2014年2月頃、目録作成・写真撮影などの調査が計画されています。  

沖縄における教科書問題・教科書訴訟

  2つめは沖縄における教科書問題の前史を勉強することです。   現在(2013年11月)、八重山の教科書採択をめぐって大きな問題になっていますが、2007年、いわゆる「集団自決」をめぐる教科書検定問題、1980年代の沖縄戦をめぐる教科書検定問題、と沖縄と教科書問題といえば80年代以降の論点が注目されてきました。一方、1965年に家永教科書検定違憲訴訟が起こると沖縄では、宮古・八重山にまで支援会が広がっていきます。こうした民衆運動の事情について、同時代的には公教二法反対闘争や教育研究集会活動・自主カリキュラム編成運動の活発化などの背景をふまえつつ、家永訴訟支援の沖縄での中心となった沖縄近代史(社会運動史)の田港朝昭さんにお聞きすることが今回の調査のねらいでした。   田港さんからは、①60-70年代沖縄の教科書問題と教科書裁判、②①と関連しての沖縄近代史研究の特徴、についてお話しを伺いました(のちほど『歴史と実践』掲載の関連論考、『沖縄労農タイムス』を送って下さいました、御礼)。沖縄近代史研究のみならず私の仕事でいえばこんどの岩波講座での教科書裁判論の調査でもありました。   特に、①1950年代、沖縄では家永三郎さんの教科書が使用されていたこと、②しかし60年代に入るとアメリカ占領軍の介入で使用できなくなったこと(二重検定という評価)、が興味深く、またさらなる検討を要する課題となりました。    ※田港さんのご紹介で宮古・八重山の教科書訴訟支援運動について宮古の歴史教育者協議会・下地さんと℡で話し合うことができました。また教育福祉会館高教組資料情報センターの方にもお世話になりました。

自分自身のテーマをおいかけて

   『琉球新報』の記者として頑張っているあかみねれいこさん、うるま市立図書館で頑張っているやましろあきこさん。むかし琉球大学と信州大学の合同ゼミで出会った友達です。元気で、そして自分一生のテーマをそれぞれ追いかけていました。歴史を学んだことを静かに抱えながら。   そんな友人達と再会することのできた、嬉しい那覇の夜でした。 ※琉球大学との合同ゼミのもようはリンク先に。

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