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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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沖縄紀行 2013・夏 その2

大宜味の海

  かならずしもうまく調査が出来たわけではありませんでした。   しかし、村史編纂室の皆さんや大宜味の方々にたいへんよくして戴きました。   「道の駅 おおぎみ」の「ふるさと農山漁村食堂」ではたいへん美味しいおにぎりを食べました。「道の駅」からみた東シナ海、大宜味の夏の海です。   喜如嘉を散策し、共同売店で名物のシークワーサーの飲み物を購入。一路、那覇を目指します。   この日、山口県岩国基地からオスプレイが普天間に飛来する予定になっていたからです。普天間が見える嘉数台地や野嵩のゲート前、現代沖縄の社会運動をこの眼で見るために急いで沖縄道を走りました。

宜野座村ヘリ墜落事件

嘉数台地からみた普天間基地

  那覇に向かう高速道路、ちょうど金武町を走っている頃、消防車とパトカーが対向車線をものすごい勢いで走っていきました。サイレンは「日本」のものと異なっていました。   よく見ると、前方には「Military Police」と記された車両が走っています。   8月5日、私達が大宜味村調査を終えて沖縄道を那覇に向かっている頃、ちょうど背後の宜野座村にアメリカ軍ヘリが墜落していたのです。    ラジオによると、岩国を発ったオスプレイは普天間に向かわず岩国に引き返したそうです。    ヘリ墜落事件から一週間後に同型ヘリの飛行訓練は再開され、何事もなかったかのようにオスプレイは普天間へ配備。「沖縄の負担軽減」を名目に、本土でも飛行訓練が実施されようとしています。

普天間の子ら

普天間基地近くの小学校・幼稚園

  2013年8月6日、沖縄県立博物館および那覇市立博物館を見学。それぞれ、近代展示の特徴と課題を検討しました。   那覇市立博物館ではちょうど「観光と沖縄」にスポットをあてた企画展をしていたので、特に1920年代以降の航路・航空路・土産物・遊郭や都市の景観など、今回の調査にとって有益な展示を見学することが出来ました。   その後、恒例(?)の古書店めぐりを兼ねて宜野湾市に向かいヘリ墜落事件後の普天間基地を見学。基地に近接する小学校と幼稚園を訪ねました。   帰り際に遊んでいた近所の子どもが近寄ってきました。「元気か?」「うん」…。運転中だったので、少ししか話しが出来ませんでしたが、眼の美しさが印象的です。1950年代の砂川を素材に、「この子はどのような暮らしをしていたのでしょうか」。私が書いた教科書に載せた「問い」です。今、普天間の子を前にして改めて考え続けるべき「問い」となりました。

  2013年8月7日、沖縄国際大学(普天間基地のそば)で沖縄近代史をめぐる研究会。その日の午後には那覇をあとにしました。   多くの成果があった沖縄調査でした。特に大宜味村調査を実施できたこと、栄野川さんはじめ多くの沖縄近代史研究者と対話ができたことが何よりです。   沖縄近代地域社会史の課題についても多く確認することが出来ました。   何よりも、ヘリ墜落事件という緊張感のなかで沖縄近現代史を学び、研究する意義を考えられたことが大事でした。   普天間基地近くの市街地、その路地にあった看板です。こうした看板が路地に並べられて立てられていました。基地の深刻さと、「笑い」のバイタリティ。地域社会の「生命感」みたいなものを感じました。

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