教員紹介

おおぐし じゅんじ

大串 潤児

日本史 准教授

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サークル誌をもとめて

小樽紀行 2012冬

雪の札幌へ

北海道立文学館企画展「戦後 北海道の演劇」

  2012年12月2日、信州・松本空港12:15の便で、札幌に向かいました。機内では、槍ヶ岳をはじめアルプスの山々を美しくながめることができました。   13:45、千歳に到着。そのまま札幌に向かいました。   札幌での目的地の一つは、北海道立文学館です。企画展「戦後 北海道の演劇」を開催しています。北海道における演劇史については、かつて歴博の共同研究で旭川を訪れた際に購入した鈴木喜三夫『北海道演劇 1945-2000』(北海道新聞社2004年)が基本文献ですが、今回の企画展もこの鈴木さんの労作がきっかけとなって行われたものです。   戦前の地芝居・農村歌舞伎や小樽商業学校の学生演劇を前史として、敗戦直後の文化運動、50年代のサークル運動、人形劇、60-70年代の鑑賞運動(労演など)、小劇場や現代演劇といった活動のパンフレットや脚本、機関誌・紙などの貴重な展示が行われていましたが、そして何とっても特色は高校生演劇・中学生演劇についてのまとまった展示を行ったこととだと思います。北海道演劇をささえる基盤として、学校演劇の厚みを考慮する必要を痛感しました。   戦後を代表する文化運動、サークル運動は演劇運動ですが、なかなか自分自身で勉強することが出来ずにいます。松本市民劇場(旧、松本労演)の史料調査をしたことがありますが、それっきりになっています。敗戦直後の「やくざ踊り」からの飛躍という問題をあって、ぜひ、チャレンジしてみたいテーマです。 ※なお、北海道社会教育協会が発行した脚本の「まえがき」に、アメリカ占領軍の検閲に言及した箇所があって、その部分が「墨塗り」で刊行されたものが展示されてありました。検閲が存在する文言や痕跡そのものをアメリカ占領軍は残さないよう指示していましたが、検閲の痕跡が明確に残っている珍しい文献です(道社会教育協会編『演劇脚本 村上元三 青雲亭』1946年11月、北海道立文学館所蔵、ちなみに「墨塗り」前の文章はPrange文庫で確認できるとのこと)。

小樽

小樽商科大学 史料展示室

  翌日、数日前までの吹雪(停電が問題になっていました)がうそのように明るく晴れた札幌です。   小樽商科大学の付属図書館が今回の目的地の一つです。仕事をすませてから、図書館3Fにある「小樽商科大学 史料展示室」を見学しました。2010年、創立100周年記念事業の一環としてリニューアル展示されたこの史料室では、小樽高等商業学校時代からの小樽商科大学の学問が、学生生活や時代状況とのかかわりでよくわかるように展示されていました。もちろん、小林多喜二・伊藤整関係のコーナーもありますが、興味深いのは、「北のウォール街」といわれた商業都市・小樽で学生達がどのような調査レポート、卒業論文を書いていたかということです。   また、寮・文藝誌や各サークルの機関誌などの展示興味あるものでした。   近年ではサハリンなどにも視野を広げた仕事を精力的に発表されています(今西一ほか『北東アジアのコリアン・ディアスポラ』(小樽商科大学出版会、2012年)。小樽の学問はつねに新しいものを目指しているようです。   

小樽の多喜二

夕暮れの小樽運河

  小樽を訪ねた日は月曜日でした。小樽商科大学に行ったこともあり、市内をゆっくりと見学することは出来ませんでした。     小林多喜二関係の小樽市文学館も残念ながら休館日。数年前の小林多喜二ブーム、その現状はどうなっているのか、現在でも多喜二は読まれ続け、それはどのような読まれ方なのか。   さらに、地方都市における「格差社会」のあり方と現代政治、石原裕次郎記念館の様子、現代史の過去と現在が、るつぼのように存在する街、小樽(小西二郎「仕事は好きなんですよ。でもやっぱ、友達と家族が一番すね:北海道小樽市の「ノンエリート」青年」『北海道大学大学院教育学研究科紀要』86、2002年6月、など)。      ナホトカ市と姉妹都市関係にあり、岩井俊二の映画「ラブレター」がブームとなって小樽を訪れる観光客が増えた韓国との関係、わずか1日の滞在ではわからないことだらけですが、興味深い街でもあります。   地域のなかの労働者たち、その戦後的文化運動の諸相を今回は調べる時間がありませんでした。また機会をみつけて、訪れたいと思います。

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