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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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家族にとっての「満蒙開拓青少年義勇軍」

第3回 満蒙開拓青少年義勇軍シンポジウム

桔梗ヶ原に関する『信毎』記事

  2012年10月6日、松本市において「第3回 満蒙開拓青少年義勇軍シンポジウム」が開催されました。第1、2回と引き続いて司会・進行役をつとめました。   今回のテーマは「家族」です。第1回が、「満蒙開拓青少年義勇軍とは何だったのか?」と題して問題の原点をさぐり、第2回が「「満洲」へ行くとは?」と題して送り出した側と義勇軍参加者を一同にあつめて問題をさぐったのに対し、第3回目は「家族」に焦点をあてた企画となりました。   企画に携わったものからいえば、今回のシンポジウムの問題設定は以下のようになります。 (1)「義勇軍の妻」=「大陸の花嫁」の問題を積極的にとりあげ、女性からみた「満洲移民」の問題をほりさげる。その際、義勇軍についての家族の対応や、新しく「満洲」で家族をつくる立場にあった女性の意識に注意する。総じて、女性の側からみた「満蒙開拓青少年義勇軍」を考える。   なお「大陸の花嫁」養成のための施設・長野県塩尻の「桔梗ヶ原拓務訓練所」については『信濃毎日新聞』が2005年12月6日~10日に連載記事を掲載しています。 (2)義勇軍参加者から直接経験を聞くのみならず、義勇軍参加者の家族(パートナーや子ども、孫など)が、「父」の姿、人生をどのように感じ、考えてきたのか、積極的に語ってもらう企画とする。そのことをとおして、「満蒙開拓青少年義勇軍」の「経験」を語りつぐことの意義と方法を考えなおす機会とする。   以上のように設定していました。 ※昨年のシンポジウムについてはリンク先を参照して下さい。

深まりと広がりへ

静岡からの問題提起

  プログラムは ① 霜田誠二 さんのお話し ② 下田すゞみ さんのお話し   霜田さんは、義勇軍中隊長であったお父さんの思いでを通して、戦争経験をどのように語りついでいくのか、という問題をお話し下さいました。   一方、下田さんは、下伊那郡河野村のご出身。桔梗ヶ原拓務訓練所の生活やご自身や家族の「満洲移民」についての当時の考え方をご証言して下さいました。   地域婦人会や女子青年団の役割、授業料の問題など参加者からも活溌な質疑・討論が出されました。たいへん充実した時間となりました。貴重な体験をお話しくださった霜田さん、下田さん、御礼を申し上げます。   なお、近年、長野県のみならず各地域で「満洲移民」「満蒙開拓青少年義勇軍」の研究が相次いでいます。かつて、私は「満洲移民」をふくむ「移民研究」はアカデミズムの研究者よりは在野の方々の研究・問題提起が優れていることを指摘したことがありますが(『満蒙開拓を語りつぐ意義と可能性』)、そうした評価は現在でもあまり変わっていないようです。   静岡県の桜井規順さんは毎年、松本のシンポジウムに参加して下さっておりますが、労作=『静岡県と「満州開拓」』(静岡新聞社・静新新書2012年)を発表されました。また、「満洲移民」というと「農村部」のイメージですが、東京都の事例研究も刊行されています(東京の満蒙開拓団を知る会編『東京満蒙開拓団』ゆまに書房2012年)。地域比較の条件が整いつつあります。今後も松本から問題を提起していければと思います。

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