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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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穂高町・有明の調査-軍隊と地域

2008年3月17~18日、一橋大学大学院生の松田圭介さんとふたりで安曇野市役所をはじめ安曇野市に各地に所蔵されている旧穂高町役場文書・旧豊科町役場文書の調査に出掛けました。
調査の目的は、1950年代初頭の問題となった旧松本歩兵第五〇聯隊演習場の自衛隊使用問題を通じて、「近現代安曇野地域における地域文化と平和文化」の基礎的事項を確認することです。

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旧有明演習場。

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かつての有明演習湯地域を見学した後、穂高会館近くの倉庫に保管されていた旧穂高町地域の役場文書を閲覧しました。

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北穂高村・西穂高村・穂高町の基本的な行政文書(村会議事録・庶務関係綴)や土地関係・学校関係の簿冊を確認し、演習場関係について旧有明村文書を調査しました。
有明演習場地域は、松本歩兵第五〇聯隊の演習場として発足し、戦後は開拓(『とよさと』)、警察予備隊・保安隊の演習地になりかかった時点で反対運動が 起こった地域です。こうした過程をうかがうことができる史料をさがすと同時に、戦前以来の有明村の姿が明らかとなる記録をさがしました。


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今回の調査の第一に成果は、この『有明村報』を発見したことです。1928(昭和3)年創刊、1940(昭和15)年廃刊となった『有明村報』は、戦前・戦時の有明村地域のすがたを具体的に伺うことができる第一級の史料だと思います。

この日は、役場史料の概要を掴むにとどめ、クルマにて旧演習場の周縁と、有明空襲の慰霊碑を見て松本に戻りました。

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穂高・有明空襲の慰霊碑。

3月18日、調査2日目は、穂高町立図書館長のご厚意により図書館書庫の調査を行いました。午後は、豊科郷土博物館を訪れ、旧豊科町役場文書・旧上川手村役場文書・旧高家村役場文書などの概要を調査しました。
行政文書の保存状況はいうに及ばず、クライマックスは戦後に南安曇郡地域で発行されていた公民館報がおおかた揃ったことです。演習場問題を抱えた有明村の公民館報・『有明新聞』もここで見つけることができました。

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豊科郷土博物館所蔵の南安曇郡公民館報。

また、明治43年ごろから「韓国併合」を記念して豊科小学校内に設けられた「明治記念図書館」の蔵書目録も確認することができました。

豊科地域の青年団報もいくつか見つけることができたのも今回の成果です。

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青年団報「よしの」ほか。

豊科の市街に現存する。「豊科劇場」の建物を見て、今回の調査は終了しました。

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現在の豊科劇場。

2日間、同行・案内をしていただいた安曇野市教育委員会の望月さんをはじめ調査にご協力いただきました関係各位に感謝します。
また、今回の調査は、信州大学人文学部と安曇野市の協定に基づく補助金事業によって実現することが出来ました。記して感謝致します。

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