教員紹介

おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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こんなことしています(研究)

戦争をどう表象するか?

2008年2月26~27日、山梨県の甲府を訪ねた。26日は、教授会が終わってから松本を離れた、甲府についたのは20:00を廻っていたので、実質的には27日、1日の滞在となった。


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石和温泉駅から県立博物館へ向かう笛吹川橋上から甲武の山なみを見る。


今回の甲府行きは国立歴史民俗博物館が主催する共同研究「20世紀における戦争Ⅱ」に参加するためであった。
共同研究 「20世紀における戦争Ⅱ」は、ある兵士の記録を素材に、(1)「戦争」はそもそもどのように表象されるのか?、(2)その「表象」の様式や 文体をささえる「主体」の経験を、①直接の戦場経験のみではなく、②その「主体」の地域における文化経験、を通して考える、とどうなるのか?、(3)それ との関わりで1930-40年代における地域モダニズム文化の実際はどのようなものであったのか?、という問いを立て、問題意識を共有する仲間達と議論を 重ねている。

「ある兵士」が甲府市出身であったがゆえに、山梨県立博物館を会場に、山梨の地域歴史研究者とも合同での研究会となった。


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研究会に参加する前に山梨県立博物館を訪ねた。目的は、1942~1943年発行の山梨県における翼賛運動をよく紹介・記事にしている雑誌『新山梨』 を閲覧すること、また甲府連隊区将校団の『将校団団報』(1934~1940年)を閲覧することだった。午前中だけの短い時間であったが、翼賛壮年団運動 がさかんであったといわれる山梨県の地域社会状況について『新山梨』からは多くの情報を得ることができた。
ちなみに山梨県の翼賛壮年団運動については名取忠彦『敗戦以後』脈々会1954年、および古屋五郎『南方第九陸軍病院』ほるぷ出版1989年、が必読である。

農村部のモダニズムと甲府のモダニズム、一兵士がどのように「戦争」を経験したのか、その感情をささえたモダン社会を分析する課題が提起された研 究会であった。そして、それは私たちが「戦争をどのように表象するのか?」と無縁な課題ではない、切実な問いともなるのであった。

 

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