教員紹介

おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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サークル誌をもとめて

サークル誌をもとめて 2007北上・秋田県南

新幹線北上駅におりたったが、東北の暑さは東京以上のように感じられた。

2007年8月14日から17日かけて、私用のついでもあって岩手県北上と横手・湯沢を中心とする秋田県南地域を訪ねた。
北上を訪ねた目的は、なかまたちとの共同研究が進んでいる戦時戦後の岩手地域の調査のためで、主要には青年学級の活動などの社会教育関係の文献、和賀地域の婦人会活動、さらには大門正克さんの論文で紹介された後藤農研婦人部の機関誌を見るためであった。

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北上図書館所蔵のサークル誌。

和賀町の婦人会活動は、今回は『婦人のひろば 第4集 みんなたっしゃで』(和賀町婦人団体協議会・和賀町教委1961)を入手するにとどまった。


北上を後にし横手に向かう。北上線を西に向かい、途中、菊池敬一・大牟羅良『あの人は帰ってこなかった』(岩波新書1964)で著名な横川目の駅を過ぎ る。加藤昭雄『岩手の戦争遺跡をあるく』(熊谷印刷出版部2006)には、北上線沿線には、(1)朝鮮人労働者による旧中島飛行機地下工場跡、(2) 「7000通の軍事郵便」で著名な高橋峯次郎が建立した「平和観音堂」、(3)後藤野陸軍岩手飛行場跡、などがある。日をあらためて訪れてみたい。


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横川目駅。

午後6時少しまえ、まだうだるような暑さの横手駅に降り立った。

2007年8月15日。61年目の「敗戦の日」である。朝から横手市立図書館に向い、むのたけじ編集の『週刊たいまつ』を閲覧する。

「『たいまつ』がしつように追求した幾つかの主題-農村・農業の進路、最近の出かせぎ問題、農民運動の在り方、地方文化やサークル活動のことなどについての文章が本書にほとんど入れられなかった」(6頁)と指摘されていたからである。

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むのたけじ編集・『週刊たいまつ』。横手市立図書館には1950年からのみ所蔵。

2007年8月16日。午前中は引き続き横手の図書館で『週刊たいまつ』を読んだ。午後は、石坂洋次郎文学記念館を訪い、この地域の文学風土について知るところ大であった。

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石坂洋次郎文学記念館。石坂はこの地でながく教師をつとめた。

そのまま、湯沢市旧雄勝町地区に向かう。途中、湯沢市増田地区(旧増田町)を訪い、戦前期増田地域で刊行されていた新聞『両瀬新報』の縮刷版を入手。

2007年8月17日、湯沢市で過ごす。湯沢市立図書館は戦前来の歴史をもつふるい図書館である(『湯沢市立図書館百年史』)。しかし、「郷土資 料目録」などは整備されておらず、新聞もコンピューター検索用に入力もされていない。この地域は、戦前には雄勝文化協会の活動もあり、興味ある地域であ る。戦後、1950年代の青年団報やサークル誌はそれほど多く所蔵されているわけではない。今回は、湯沢雄勝郡連合青年団の機関誌『雄勝の青年』第1号 (1956年4月)、湯沢青年学級『ふきのとお』(第1号、1956年10月~第5号、1958年9月)、同生活研究クラブ『オーロラ』第4号(1958 年7月)を確認・収集することが出来た。
雄勝郡秋の宮青年会書記長・郡連事務局長の由利忠四郎は、やがて秋田県の青年団運動に大きな役割を果たす人物であり、こうした人物の地域青年団における活動をトレースできることは収穫でもあった。

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湯沢地域の青年学級に参加した青年たちによる文集。


夜は西馬音内の盆踊りを見て来た。


多くの欠号があったのだが、実際に「たいまつ」を読むことが出来たのが今回、最大の収穫であった。予想以上に、県南地域の青年団運動、サークル運動につ いての記事も充実しており、西馬音内のサークル「虹の会」や、秋南詩話会など調査・検証すべきサークルの候補をいくつか見つけられたことが収穫であった。

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