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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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サークル誌をもとめて

サークル誌をもとめて 千葉・館山

2007年連休を使って、木更津・館山を巡ってきました。
5月5日はちょうど子どもの日。館山城公園ではNPO法人「南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム」の皆さんが演じる「里見八犬伝」の紙芝居が好評をはくしていました。
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「南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム」は、いくつかの前史をもって2004年1月に設立、5月に法人認可を受けたNPO法人です。その理念と 活動は、「南房総・安房地域にある海や花などの自然環境、風土に根づく歴史的な文化遺産など、この地域に「いまある」ものを活かした地域づくり」の模索を 原点に、①地域にある戦争遺跡の調査研究・保存・活用、②地域にある里見氏関係を中心とする文化財の調査研究・保存・活用、③地域の国際交流の痕跡を調査 研究・保存・活用、するための事業活動を行いつつ、「“平和・交流・共生”の理念を学ぶ「たてやま・地域まるごと博物館」」の構想として表現されています (愛沢伸雄『足もとの地域から世界を見る 授業づくりから地域づくりへ』(2005年6月)。すでに「あわ・がいど」シリーズとして『戦争遺跡 南房総に 戦争の傷跡をみる』(第1集-2004年6月)、『房総里見氏』(第2集-2006年6月)、『海とともに生きるまち』(第3集-2007年2月)などを 刊行しています。館山といえば、現在、各地でさかんになりつつある戦争遺跡の保存・活用運動で著名ですが、こうした運動のあしもとに、NPO=現在のサー クル運動が存在しているともいえましょう。長野県の松代の事例ともあわせて、こうした運動からは多くのことを学べます。

館山には、「かにた婦人の村」もあります(小林トミ「『いずみ寮』から『かにた婦人の村』へ-コロニーーへの道」思想の科学研究会編『集団』平凡 社1976)。あいにくと時間もなく、また突然の訪問でもあったので、通りすぎるだけにとどまりました。機関誌『ディアコニ』を読むこともまたの機会とい うことになります。さらに、館山地域は、1948年、千葉県内で初の女性村長・早川みた(神戸村)が誕生した地域でもあります。

また、最近刊行された『千葉県の歴史 資料編 近現代9(社会・教育・文化)』(2007年)は、「青年文化運動と地域の民主化」、「多元化する 地域ミニコミ文化」などの章をおき、敗戦直後のアナーキズム系ミニコミ誌『武良徒久』(ぶらつく・山武郡東金町)や、社会運動にかかわって刊行された多く のサークル誌・ミニコミ誌を意識的に収録しています。和田金次・竹内義長編『娘たちのつづった 農村の母の歴史』(たいまつ社1973年)にかかわる資料 も収録されています。従来の県史とは異なった、また、多くの宿題を提起してくれている県史です。

ちなみに、木更津は「潮干狩り」と「木更津キャッツアイ」の映画ロケ地を前面に出した地域づくりを行っていました。市街地には3軒の映画館が残っ ています。映画ロケ誘致のNPOが各地でさかんに活動していますが、1950年代の映画サークル運動との関係など面白いテーマかもしれません(筆者もつい さいきん松本の映画NPO「シネクラブ」の会員となった)。
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木更津市街に残る映画館「富士館」。

館山にある県立安房博物館は水産関係の博物館として大変面白い場所でした。筆者も「アワビレース」(あわびの生態観察)を楽しみました。
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あわびレース

安房のあわび漁師はカリフォルニア州モントレー湾に移民・コミュニティをつくりました。戦後60年目、占領期の米軍上陸地点という過去ともあわせて日米の平和セレモニーが実現しています(『海とともに生きるまち』)。

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