教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

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哲学・思想論分野 鎌倉旅行

今年の2月の金沢旅行に引き続き、9月20日21日の一泊二日で、有志により鎌倉旅行に行ってきました。今回は、早坂先生も引率に加わっていただき、安心度が飛躍的にアップしました。 学生は3年生8名を中心に、4年生1名、2年生2名の参加。本当は、2年生にもっと参加してほしかったのですが、次回に期待です。以下、研修に相応しい部分のみをピックアップして報告いたします。

東慶寺

西田幾多郎のお墓

松本から中央本線、湘南新宿ラインを経て北鎌倉へ。目指すは東慶寺。 1285年開創のこの尼寺は、女性の側から離縁できなかった封建時代の駆け込み寺として有名になりました。 早坂先生は、学生をつかまえては「さだまさし(グレープ)の『縁切寺』って知らない? あの歌の舞台なんだけど…。知らないかぁ」と残念そうにしています。(ちなみに私も知りませんでした。)後にネットで調べたところでは、このような歌詞―― 今日鎌倉へ行ってきました 二人で初めて歩いた町へ 今日のあの町は人影少なく 思い出に浸るには十分すぎて 源氏山から北鎌倉へ あの日と同じ道程で たどりついたのは縁切寺 しかし、この東慶寺は、哲学・思想論の面々にとっては縁もゆかりもあるお寺でした。というのも、明治時代にここの住職であったのが釈宗演、あの鈴木大拙の師匠として名高いお方です。この人の紹介で、大拙はアメリカへ渡り、その機縁でZENが世界へ紹介されることになったのです。 そういうわけで、東慶寺の墓苑には、明治期の様々な有名人のお墓があります。小林秀雄、高見順などの文芸家、和辻哲郎、西田幾多郎といった哲学者などなど。若干、デング熱の蚊が怖くもありましたが、みんなでお墓探し(荒らしではありません)です。 「和辻」や「小林」などの墓はそのままの名前で発見できましたが、西田は「寸心」という法名(雅号)を知らないと発見できません。2月のフォーラムでお世話になった感謝をこめて合掌。

円覚寺・建長寺・横浜中華街

北鎌倉から鎌倉へ。 その途中で臨済宗の名刹・円覚寺と建長寺に参拝しました。 円覚寺は夏目漱石などが参禅したところですね。学生の一部は、この春に円覚寺の座禅会に参加したらしく、その道場を懐かしく眺めておりました。確かに、我々、観光客さえいなければ、静かに集中できそうな環境です。ちなみに、本尊は宝冠をつけた釈迦如来。何なんでしょう。華厳と禅の融合でしょうか。 一方の建長寺も見ごたえ十分でした。一切の無駄のない伽藍の構成、そして落ち着きのある庭園の風景。こちらの本尊は地蔵菩薩。山門を見ていた学生が、「羅生門みたいですね」と言った一言に共感。確かに黒澤明の『羅生門』に登場するような、古びた巨大な山門がやたらと印象に残りました。折しも雨も降ってきたことだし…。 夕食は定番の横浜中華街だったわけですが、今回は中国哲学の早坂先生が同行されていたので、中華街にある二つの御廟を見学しました。 一つは関帝廟、『三国志』に登場する武将・関羽を祀ってある御廟です。なんでも、華僑の間では商売の神様という位置づけになっているらしく、ギンギラギンのすごい装飾でした。 一方の媽祖廟は、北宋時代に福建省で神力を得た娘さんを祀っています。航海の神様ということで、海を渡って日本にやってきた華僑の人たちが大事にするのも分かりますね。

金沢文庫

翌日は、午前中に金沢文庫の見学です。13世紀に北条実時により作られた武家文庫は、現存する日本最古の図書館と言えるでしょう。そこに、菩提寺・称名寺の仏教典籍・美術品などが加わり、日本中世史を知る上で重要な博物館となりました。 今回は企画展「仏教美術逍遥」を見学。十一面観音立像、聖徳太子立像など、いずれも凛とした気迫にあふれる彫刻、そして称名寺の仏名会(三世諸仏の称名により罪障を滅するための法会、平安時代の宮廷行事にもなった)で用いられた『三千仏名経』に基づく三千仏図――私の目にはアンディ・ウォーホルを超えるウルトラ・ポップな絵に見えてしまいますが――など、圧巻の展示品の数々でした。 武家の伝統の中で、どうしても「剛健さ」が強調されるのかもしれませんが、これら鎌倉美術には、トランス状態で生まれる、サイケデリックなデザイン感覚が漂っているような気がしました。 なお、購入した『称名寺の仏典』によれば、称名寺・金沢文庫には、平成5-8年に悉皆調査が行われた宋版一切経と称名寺聖教が保管されているとのこと。同書には、「称名寺聖教のうち注目したいのは、中国撰述仏典の版本や写本と、それらの研究成果として著された注釈書や論書の質である」とあり、特に、称名寺三世長老・湛睿(1271-1346)の『華厳五教章』に対する注釈・講義録などは、中世学僧の研究活動を知るための貴重な資料であると記されています。もう少し時間をかけて見学すべきでした…。 「艦これ」なるものにはまっている学生たちは、その後、横須賀へ聖地巡礼に出ておりましたが、どうなったんでしょう。ともあれ、有意義な旅行を企画・実行してくれた幹事の鈴木さん、小池さんに感謝です。

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