教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

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哲学・思想論金沢旅行

 2月22日~23日、哲学・思想論分野の有志15名とともに金沢へ行ってきました。初日は宇野気にある西田幾多郎記念哲学館へ、二日目は幾つかのグループに分かれ、金沢の鈴木大拙館などを訪問しました。

西田幾多郎記念哲学館

骨清窟

 2002年に安藤忠雄の設計で建築された西田幾多郎記念哲学館は、世界的にも類を見ない哲学のミュージアムです。「考える」をテーマに設計された、その斬新な建築構造により、訪問者は方向感覚すら分からなくなるくらい、あちらこちらを歩きながら、思索の世界に誘われます(これが、もしかしたら行為的直観?)。  展示室の中では、西田の原稿、西田の声などに触れることができ、特に「西田幾多郎と鈴木大拙」の発表にかかわった学生たちからは感動の声が漏れてました。西田の原稿には「西田原稿」と書かれた専用の原稿用紙が使われていることを発見する学生、若い頃の字体から円熟期の独特の字体への変化を見いだす学生など、得難い体験ができたと思います。  かくいう私自身も、というか、私自身が一番、刺激を受けたのかもしれません。西田の原稿では、「知識」が「認識」に書き換えられたり、「心理的」が「心的」に書き換えられたり、膨大な量の加筆・修正・削除がほどこされています。そこに込められた思索の風景に思いをはせていると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。  また、2010年から公開された西田幾多郎書斎「骨清窟」も見ごたえがありました。大正ロマンの香り漂う、瀟洒な書斎(京都にあった旧西田邸から移設されたもの)には、当時のままの机や椅子、書架が配置され、壁には和辻から贈られたというレンブラントの「哲学者」などが飾られています。窓から中をのぞき込むような形での観覧でしたが、西田哲学発生の「現場」から離れることはできませんでした。

鈴木大拙館

水鏡の庭

 金沢の観光名所・兼六園からそう遠くない場所に鈴木大拙館があります。こちらも現代的な意匠を凝らした、谷口吉生の設計で2011年に竣工したものです。館内は、展示空間、学習空間、思索空間の三つの空間から成ります。  鈴木大拙と言えば、禅の思想を世界に広めた偉大な宗教者ですが、この館は、まさにその思想を体現したような形で、不必要なものが徹底的に排除され、かわりに贅沢なまでの「無」の空間を確保しています。見学者にはパンフレットが渡されることもなく、必要な場合のみ、各場所のリーフレットを受け取るだけです。また、鈴木の生涯を学習する際にも、i-PADを使った閲覧のみ。スティーブ・ジョブズも禅の世界に関心をもっていたわけですから、これは、なかなか粋なコラボレーションです。  そして、最後の思索空間。この館のほとんど全面を占める「水鏡の庭」という巨大な人口池に突き出る形で、座禅などができる空間が確保されています。学生たちは、結跏趺坐にチャレンジしながら、それぞれに思索のポーズをとって、大拙の世界に入っておりました。私は、二日酔いの頭を癒すために、寝転んで、青く澄み渡った空を丸天井から眺めておりました。  金沢周遊バス・チケットによる割引で250円。究極のリラクゼーション空間でした。

旅をふりかえって

兼六園

 初日、松本駅に集合したのが朝の6時40分、そこから直江津経由で電車を乗り継ぎ、西田幾多郎記念哲学館に到着したのが1時30分頃。長時間の移動でしたが、アルプスの山々を眺め、直江津からは美しい日本海の風景に接し、贅沢な電車の旅だったと思います。    このプランを計画・実行してくれた幹事の若林くんに感謝です。

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