教員紹介

もりやま しんや

護山 真也

哲学・芸術論 教授

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Katsunori Hirano, Nyāya-Vaiśeṣika Philosophy and Text Science

Pune in 1999

 友人である平野克典氏より、ニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の注釈文献に関する研究書をご恵贈いただきました。平野氏とはじめてお会いしたのは1999年、インドのプネーでのことでした。留学先のデリーから、新ニヤーヤ学派研究の大御所V.N.Jha先生を訪ねて、長距離列車に飛び乗ったのが、1月のことだったと思います。  ムンバイ近郊の学園都市プネーは、緑豊かな街並みで、大都市よりも穏やかな雰囲気に包まれていました。この街には、インド学研究の長い伝統をもつバンダルカル東洋学研究所があり、また、新ニヤーヤ学派・文法学研究を志す様々な研究者が集まっていました。現在、ハーヴァード大学で教鞭をとるPalimal Patil教授も、このとき、プネーに滞在していた研究者の一人です。  日本人の研究者では、高野山大学の北原裕全氏、ジャイナ教研究者の脇領至氏、そして名古屋大学の平野氏が滞在していました。この三人とは、学問的な話はもちろんのこと、レストラン情報や日々の様々な事件など、ビールを片手に、いろいろなことを語り合いました。人生でもう戻ることのない至福の時間…。うーん、感慨にひたってしまいますねぇ。

Nyāya-Vaiśeṣika Philosophy and Text Science

 先日、その平野氏から研究書をご恵贈いただきました。名古屋大学のグローバルCOEプログラム「テクスト布置の解釈学的研究と教育」の成果として、Motilal Baranasidass Publications (Delhi 2012)より出版された御著書です。  ヴァイシェーシカ学派の中興の祖プラシャスタパーダが著した『パダールタ・ダルマ・サングラハ』に対する三つの注釈文献『ヴョーマバティー』(ヴョーマシヴァ著、10世紀)、『ニヤーヤ・カンダリー』(シュリーダラ著、10世紀)、そして『キラナーヴァリー』(ウダヤナ著、11世紀)を考察対象として、注釈テキストの生成を様々なテキスト理論を用いながら分析することが目指されています。徹底的に、注釈文献のテキスト学(Text Science)にこだわっている点が、いかにも冷静な分析家・平野氏らしいところでしょう。  「内属」章についての三注釈の訳注研究も付されており、ヴァイシェーシカ学派のカテゴリー論を学ぶ上でも必須の研究書になりそうです。  インドの本独特の香りを味わいながら、古いアルバムを開くように、大切に読ませてもらおうと思います。

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