教員紹介

いとう つくす

伊藤 尽

英米言語文化 教授

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Tolkien 研究

モルメギル(黒き剣)を贈られたこと

毎月1回行われる東京渋谷のカルチャーセンターでの講義。

オクスフォード大学元教授のJ.R.R.トールキンの作品を読んでいます。
今回はなかなかハードな内容でした。

さて、そのお話の主人公は悲劇の運命を背負った一生を送るのですが、彼の父親は人並み外れた精神的な力を持っており、キリスト教でいうところのサタンの誘惑にも負けないほどです。

ただし、彼は息子の悲運を目にしなければならぬ責め苦を味わっているのですが、息子の方は、人々やエルフたちから愛されながらも、自らの浅慮や思い上がりから、悲しい運命の方へと人生を選び取っていってしまうのです。

その彼が、自分の最も親しい友人を誤って剣で殺してしまうという、また大きな運命の中に落ち込みます。その後、その凶運の剣はエルフの鍛冶によって鍛え直されます。その刃は漆黒で、持ち主である主人公は「黒き剣」と呼ばれ、敵方である魔王配下の軍勢からは恐れられるほどになります。友人を刺し殺した刃は不吉なものと思われますが、エルフの鍛冶に鍛え直されてからは、敵にとって怖ろしがられるような英雄の象徴となったわけです。

黒き剣とは、エルフ語のシンダリンでMormegil「モルメギル」と表されます。Mor-は「黒」を表す接頭辞、megilは「剣」を表す名詞です。

ここまでが前振り。

カルチャーセンターの講座のあと、生徒の方々と飲み物とともに語らうのが常です。面白い情報や話題が満載です。この時には、特に『ブレンダンとケルズの秘密』や「竜」という漢字についての中国語の先生からの説明があったりと、知的な話題で盛り上がりました。

さて、一段落したところ、その席上で生徒のお一人からきれいに包装された包みを戴きました。
「話のネタに」と仰りながら渡されたそれを開いてみると、中から写真のような品物が出て参りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか綺麗な包装です。

開けてみると

 

そう。黒き刃のナイフです。贈り主は一言。

モルメギルです

一堂大爆笑でした。

サークルK・サンクスにのみ売られている限定商品らしいのですが、これを「モルメギル」という商品名にして、手元のところにちょっとした飾りを入れて売り出したら、日本全国のトールキンファンはこぞって買いに走るだろうな、と思われます。

こんな贈り物をして戴いたら、記憶からなくなることはないでしょう。一生の宝になります(贈り主の〜さん、どうもありがとうございます)。

翌週の大学院で、トールキンに関する授業のはじめにその話をしたら、院生諸君も大いに感に入った様子でした。

今週の一言。
「学びの中から生活の潤いを。」

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