教員紹介

いとう つくす

伊藤 尽

英米言語文化 教授

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おしごと以外 閑話

あれから10日後:職人と研究

井上雄彦の『スラムダンク』が連載されていた当時、そしてコミックスが発売されていた当時、それが本当に楽しみでした。

最終回がジャンプに掲載された時、そして単行本として店頭に並び、それを読んでからなんとも言えない気持ちに襲われたこと、そして当時も今も変わらぬ友人たちと、そのことについていろいろと話し合ったことを今でも覚えています。

その後、単行本の刊行が1億冊を越え(2004年)、その12月に、神奈川県の廃校になった高校を舞台としたイベントが開かれました。残念ながらその当時に僕は参加できなかったのですが、その後、SWITCH誌上にてそのことが取り上げられ、それを読み、涙したわけです。

そして今年、そのイベントのことを記録した写真集が発売されました。目を疑いました。SWITCHではすべてを掲載はしていなかったので、喜んで買い求めました。

その井上雄彦は、今は講談社で『バガボンド』、集英社で『リアル』という秀逸な作品を連載しているわけですが、『モーニング』誌上での連載で、なんと乱丁があったことがニュースになりました。

このことで、仕事に対する「職人」の在り方について、とある人と話になりました。
井上雄彦が、怒りを通り越してあきれ果てているという内容のコメントを発表したということです。
折しも、その日は『バガボンド』の最新刊の発売日でもあり、かつ『モーニング』誌上での連載が再開する回でもあったのです。そのような大事な仕事で、これまでなかったような大失敗をしてしまったわけです。失敗した人は自殺したいくらい反省したことでしょう。

でも、問題はどこにあったのでしょうか。講談社という出版社で仕事をする人の中に、これまでいた「職人」が少なくとも消えつつあるのではないか、というところからその人との話が膨らみ、研究者というのもひとつの職人である、という考え方が結論としてでたわけです。

が、そこで問題になったのは、僕という研究者が職人としての技術を磨き上げることに精進しているかということでした。これは大いに反省を迫られることになりました。
松本に引っ越す半年以上前のことですが、その時に久しぶりにお会いした或る先生との話でも似たようなことが話題となりましたが、そのことを思い出すことにもなりました。
毎日の生活が研究に直結する日々を、ここ松本で送ってきているつもりでしたが、それでも目の前の仕事に追われ、自分を研磨する努力を怠っているのではないか・・・。

松本に移って2ヶ月がちょうど過ぎ、1つの山を越えたところで、もう一度スタートラインに立った気がします。さて、研磨に入るとするか。

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