教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・思想論 教授

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中国関係

安徽調査報告(1)

臨安サービスエリアにて

研究テーマに関係する地点を調査するため、科研メンバーで、浙江省(杭州市)、安徽省(黄山市、宣城市、合肥市、滁州市)、上海市を廻ってきました。その成果をこれからここで報告していきたいと思いますが、個別の調査地点の話しは後回しにして、初回からいきなり「番外編」です。 杭州市から安徽省へは、借り上げバスで移動しました。自力で廻ることを考えれば、天と地ほどの快適さの違いです。ただ今回、杭州のホテルを出発する時点でバスの調子が悪く、修理工場に寄ってからの出発となりました。にも関わらず、高速道路に乗った直後から再び調子が悪くなり、臨安サービスエリアで早い昼食を取りながら、代車を待つことになりました。定食を食べ終え、漫画「ワンピース」の素晴らしさについて中国人研究者のS先生に熱く語っていたら、代車が到着しました。時間を計算したら、故障車の運転手さんから「代車を寄こせ」と電話を受けて、すぐに出発したとしか思えません。そして、そのまま代車の運転手さんが安徽省3泊4日の行程をずっと運転してくださいました。何という見事なネットワーク・フットワークなのでしょう。中国に対しては、どうしても「故障が多い」ところに目が行きがちですが、それとともに「対応が巧みである」ところにも目を向けるべきだと思いました。

安徽大学(合肥市)キャンパス

「対応が巧み」ということでもう一点。我々の一行のなかに、安徽省最後の地・合肥市のホテルに財布を忘れてきた日本人メンバーがいました。気づいたのが夜中の9時半ごろ。突然の雷雨に交通が完全に麻痺し、バスに乗って上海市内を5時間さまよった(正確にいうと、さまようこともできず足止めを食らった)後のことで、これが中国最後の晩です。すると、同行してくれていた中国人の方が合肥のホテルに電話をし、財布の存在を確認してくれました。見事なのは、そこからです。「持ち主は、明日の午前11時にはホテルを出て帰国しなきゃならない。高速鉄道にでも乗って、直接その時間までに上海のホテルに持ってきてくれないか。きっと、そちらのホテルの宣伝になると思うんだが」とホテルのフロントを説得しだしたのです。そして、経営者と相談したフロントから承諾の返事がもたらされました。いまネットで調べてみたら、合肥―上海間は420㎞、直線距離でいうと東京―神戸間ぐらいの遠さです。翌日午前10時には、若いお兄さんがちゃんと上海のホテルに届けてくれました。聞くところによると、合肥から直接来る列車の切符が取れなくて、真夜中に合肥を出発、まず南京に寄って、そこから上海に高速鉄道で来たそうです。日本だったら郵送か宅配便に頼るところでしょう。中国では、そういう手段に対し信頼感が薄い(なにぶん財布なので)ということもあるのかも知れません。でも、やはり、中国社会のもつ、こういう見事なフットワーク(それ相応の対価を支払ったにせよ)にも目を向けるべきだと改めて思いました。ちなみに、このホテルの名は「合肥銀瑞林国際大酒店」です。感謝の意を込めて、ここにその名を記しておきます(この対応以外でも、きわめて快適なホテルでした)。

安徽省黄山市歙県の斗山街にて

最後に、もう一点。今回の安徽調査では、旧知の中国人研究者の方々にも同行願い、支援していただきました。その中国人研究者でも安徽はあまり詳しくないということで、彼は知り合いに現地事情に詳しい方を紹介してもらい、案内を依頼しました。我々日本側からすれば、知り合いの知り合いの知り合いです。安徽の初日だけ案内していただく予定だったのですが、郷土愛にあふれるその案内係のかたは、結局、安徽の全行程に同行してくださいました(中国のホテルは基本がツインで、一人でも二人でも料金が変わらないので、こういうときに便利です)。その方のおかげで、諦めかけていた調査地点にたどり着くことができたり、想定もしていなかった場所を見ることができたりしました。その方は、「日本の素晴らしさをもっと知りたいんだ」と旅行中に何度も仰っていましたが、我々は逆に、その方のおかげで中国の素晴らしさを知ることができました。本当にありがとうございました。

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