教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

杭州便りその20表

再びですが、あけましておめでとうございます。今年一年が皆様にとりまして、右側の写真のようにウハウハな感じになることを祈念申し上げます。なおこの写真は、下で言及している「河坊街」で撮影したもので、この像は年中そこに置いてあります。弥勒菩薩(布袋さん)の体で百体の童子が戯れている姿のようです。

呉山城隍廟

さて、私はこちら杭州で、ひとり寂しく農歴1月1日(「大年初一」)を迎えました。大晦日(「除夕」)に街角ウォッチングに出かけましたが、天気が悪かったこともあってか(最高気温も1度を超えなかったようです)、車の数もめっきり少なく、西湖には人影がほとんど見当たりませんでした。ただ、夕方辺りから花火・爆竹が炸裂し始め、深夜になってもその音が止むことがありませんでした。個人的には、「幸せなら手を叩こう」というテレビドラマの最終回がその日にあって、主人公である若いお母さんが病気で死んでしまう話だったので、少し静かにしてもらいたかったです。そんなこと、言っても仕方のない話ですけど。

火災のない和諧社会を!(孔子廟)

せっかく春節の時に中国にいるのだからと思い、正月開けから連日、初詣でに出かけました。「初一」に西湖まで出て驚きましたが、前日とは打って変わって人、人、人でした。「除夕」とのあまりの違いっぷりに、みんなが私に向かって「どっきり 大成功!」という看板を出すんじゃないかと思うぐらい面食らいました。それはさておき、儒教研究者の端くれとして、まずは「孔子廟」に向かいました。ぱらぱらと人がいる程度で、TVニュースで見た「霊隠寺」の様子と大きく違いました。霊隠寺は杭州で最も人気のあるお寺で、ここの「年越し参拝券」は特別価格の200元だったのですが、皆さん列を成して購入していました。年越しの瞬間に、お線香をもって拝むためです。孔子廟は無料なのですが、孔子さまに拝んでも「まあ、自分でがんばれ」としか言ってくれそうもないので、皆さん、仏さまの所に行くのでしょう。孔子廟で印象的だったのは「この近辺で花火・爆竹は禁止」という趣旨の貼り紙が周辺の社区にたくさん貼ってあったことです。確かにあれだけ各所で絶えることなく花火・爆竹を行ったら火事の危険性も甚大で、2011年の春節では全国で2000件以上の火災が起き死者が10人も出たそうですから、ほんとに気をつけてもらいたいものです。それと、「これが無いと年が越せない」と中国の方々は仰いますが、ひねくれ者の外国人研究者としては「伝統は創られる」とつぶやかざるを得ません。あれだけの量の花火・爆竹をひっきりなしに長時間、皆が打ち上げ鳴らし続けることは、経済的な裏付けがなければ無理な話です。ここ最近の状況は、中国が豊かになった証だろうと思います。

さて、孔子廟以外にも、城隍廟・香積寺・抱朴道院・黄龍洞・東岳廟・法華寺・霊順寺などにも足を運びました。城隍廟は「町の守り神」です。杭州では「呉山」という山にあって、10年ほど前に城隍閣とともに再建されました。呉山付近は、以前はとても趣のある、古い町並みがかなり残っている街区でしたが、今では「河坊街」というレトロ街に生まれ変わっています。昔の雰囲気を知っている者としては複雑な気持ちがしますが、観光には格好の場所で、お客さんを連れて行くには便利なところです。「香積寺」も、京杭運河沿いにある歴史あるお寺ですが、今あるのは最近になって再建されたものです。ぴっかぴっかで、侘び寂びを愛する日本人からすると正直あまり有り難みを感じないのですが、かなり立派なお寺であることは確かです。「抱朴道院」は、西湖北側の葛嶺にあり、世界文化遺産の一部を成しています。「黄龍洞」以下の地点については、稿を改めてご紹介したいと思います。 中国の伝統宗教を「儒仏道三教」と言ったりしますが、正月開けから、儒教・仏教・道教の施設をくまなく廻ったことになります。ずいぶんと信心深くなったものだと自分でも思います。これだけ廻ったのですから必ずやご利益があることでしょう。ちなみに、上で紹介した宗教施設は、孔子廟以外はすべて有料でした。孔子さまの度量の大きさがうかがわれます。参観者は一番少なかったですが。

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