教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

杭州便りその17

歳は取りたくないものです

杭州に来てから、改めて「歳を取ったなあ」と痛感しています。80后の若者たちに、「ここは昔、こんなんじゃなかったんだよ」「こんな高い建物は、15年前には無かったけどなあ」などと、しばしば語っているからです。スマートな彼らは「だから、何なん?」とは決して言いません。言いませんが、それをよいことに昔話を繰り返してはいけません。本当に、歳は取りたくないものです。

―なんてことを話の枕にして、杭州の「孔子廟」の話をしますと、本当に昔に比べて面目を一新しています。15年前、「杭州碑林」と呼ばれる場所があり、見に行ったところ、すごくごみごみとした狭い道の奥に、それはありました。「碑林」というだけあって、石碑がごろごろ転がっていました。「ちゃんと管理しろよ!」と憤りを感じたことを今でも覚えています。今年の5月頃、知人から「杭州には孔子廟は残っていないのか?」と尋ねられ、「ない」と答えた後で気になって調べてみたら、ちゃんとありました。15年前の「杭州碑林」が大改装され、「孔子廟」になっていたのです。もう少し正確にいうと、前からあったものの物置化していた「大成殿」を中心に改修を施し、「孔子廟」という名称を前面に打ち出すようになったようで、もちろん石碑に関しても、ちゃんとした場所に置かれてきちんとした展示がされるようになりました。特に「南宋石経」は見物です。96年当時の杭州碑林入り口(洗濯物付き)と現在の孔子廟入り口の写真を並べておきます。いまや杭州の一大観光スポットになった「呉山広場」の近くにあります。 

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おすすめブログ

前置きが長くなりましたが、ここからが今回の本題です。何度も「杭州便り」をアップしてきましたが、ご存じのように私は、どうも昔の話と重ねてしまうし、興味の所在も思いっきり偏っています。そこで、今の杭州を実感できるブログを二つご紹介したいと思います。


杭州ひとりごと

こちらは、配偶者の仕事の都合で杭州で生活されるようになった女性が書かれているブログのようです。好奇心と行動力がきわめて旺盛なかたのようで、今の杭州に関する最新情報が興味深く紹介されています。拝見するたびに、「若い女性がこんなにも果敢に街に繰り出しているのに、お前は何をしているんだ!」と心の声に叱責されます。今の杭州を知りたい方はぜひご覧ください。


文壬堂∴子育倶楽部

こちらは、杭州の大学で教鞭を執りつつ子育てにも奮闘されている(らしい)女性のブログです。「文壬堂」さんには他にも「芸術倶楽部」「茶人的生活」「旅人的生活」「言語倶楽部」といったブログがあるのですが、うかつにも私は最初、同じ方が書かれているとは全く気づきませんでした。それぐらい、この「子育倶楽部」はぶっ飛んでます。実に痛快な、異国での子育て体験が綴られていて、本当に面白いです。しかも時々顔を覗かせる教養人としての分析は、日中比較文化論としても群を抜いています。


―こういうブログを拝見しながら、隔世の感を覚えています。15年前には、当然インターネットは普及しておりませんでしたから、日本の情報はほとんど入ってきませんでした。長嶋巨人の「メイクドラマ」も猿岩石の旅も、帰国して知りました。知り合いがお土産として持ってきてくれた日本の雑誌に「ぷりくら」という表現があって、「今の日本ではどんな素敵なクラブが流行っているんだろう」と妄想したのも、懐かしい思い出です。それが今や、「ドラマ『仁』の坂本龍馬のほうがよかった」と中国の若者(日本留学時代に福山雅治の『龍馬伝』を見て以来の龍馬オタク)に語ったら、その翌週すぐに「先生、ネットで『仁』を観ましたが、『龍馬伝』の龍馬のほうがかっこいいです」と反論される時代になりました。ああ、ほんとに、歳は取りたくないものです・・・。

 

 

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