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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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哲学関係

後悔と自責の哲学

ああ、結局一ヶ月以上、ブログの更新を怠ってしまった。忙しかったのは確かだけど、やろうと思えばできたはずなのに…。

…などといきなり後悔と自責から始めてしまったが、そんな感情について哲学的な検討を加えているのが、中島義道著『後悔と自責の哲学』(河出書房新 社)である。中島氏ほど有名な哲学者の本を、私はそれほど多くは読んでいないのだが、今回この本を手にして驚いた。氏の哲学観に非常に共鳴できたのだ(驚 くことはないのか?)。

「過ぎ去った出来事について激しく後悔すること、しかもいくら後悔しても取り返しがつかないことを知りつつ後悔すること、こうした態度はまちがって いない。むしろ、こうした一見不合理な態度のうちにこそ「真実」が隠されているのです。…そして、ここでこそ(いかなる科学でも宗教でもなく)「哲学」が 威力を発揮するのです。哲学=愛知(philosophia)は、われわれ人間が「些細なこと」で激しく後悔すること、「どうでもいいこと」に深い自責の 念をもつことを正面から見据える。そして、これらの現象をできるだけ正確で厳密な言語を駆使して語ろうとする。こうした単純な営みにすぎないので す。」(同書pp.176-177)

この本の大部分は、「意図」「偶然」「運命」などに関する哲学的な検討であり、その辺りで好みが分かれるかも知れない。私としては、読後、「後悔」や「自責」の倫理学的・人間学的な検討を自分なりに進めていきたいと思った。そんな勇気がもらえた書物だった。

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