2007年度以前

2005年度後期研究室報(2006/2/1発行)院生のことば

Hくん

毎日が、疾風のように。

「近況報告、後輩へのアドバイスを思う存分書き残してください」
――原稿依頼のメールが届いた時、少々驚いたが、正直なところ嬉しかった。
忘れられていないようだったので。…というのは冗談だが、未だに戸惑っているのは事実だ。この文章を「です、ます」調で書くべきか、「である」調で書くべきか、そんな基本的な所から悩むほどに。枚数の制限は無いようなので、今回は思った事を気楽に書かせて頂こうと思う。

1.近況
さて、まず私の近況を簡単に書こうと思う。
今年度は修士2年ということで、修士論文を提出する年だった。修士課程は、基本的に2年間で修了できるようにカリキュラムが設定されている。したがっ て、「2年」という限られた時間(これを「長い」と思うか「短い」と思うかは個人差があるが)で論文を書くための様々な下準備や文献収集を行い、論文を執 筆する。
修士1年次は、主に研究の下準備、2年次には具体的な調査を行う―これが、理想の院生生活なのだろうが、理想と現実は、かみ合うことの方が珍しい。
私の場合も様々な事情で(8割が言い訳になるので省略するが)調査・執筆が進まなかったが、今年度の修論提出のデッドライン(12月26日)には何とか 間に合い提出した。修士課程で一番のヤマとも言える修論を提出したことで、ここ1ヶ月ほどはいわゆる「燃え尽きた状態」で過ごしている。
また今後の進路だが、これを読んでくださっている方々の心を寒くしてはいけないので詳しくは書かないが、まだ具体的には決まっていない。今、確実に言えることは、まだ1~2年間は松本市にいる、ということだけである。

2.1年間を振り返って
ところで、この1年間を振り返って印象に残る大学での出来事と言えば、やはり穂高町民を対象とした郵送調査が挙げられるだろう。
私が信州大学に入学してから、もう6年が経つ。社会学研究室に入ったのは学部2年の時からだが、今回の郵送調査のように大規模な調査は経験がなかった。
私が学部2年次の時「社会調査実習」として行ったのは、今冬大雪に見舞われた新潟県・津南町での聞き取り調査だった。学部3年次には諸事情で実習を履修しなかったため、社会学研究室で公式に行った調査としては「聞き取り調査」しか経験していない。
卒業論文で使った研究方法も「聞き取り調査」(と、本当に言えるのかも自信がない論文だが)だった私が、春に初めて「郵送調査をやる」と先生方から言われた時は正直なところ、不安で一杯だった。
それでも、一度動き出した話は「私の力が足りないから」と言って止められるわけでもなく、4月から一気に具体化していく。
前期には研究会も立ち上がり、調査項目の作成に入った。調査項目作成のためのグループも決まり、グループ作業も何度か行ったが、グループ作業の際に何度 も口にしたのは「皆で考えましょう」。皆で考えたかったのは本心からだが、ここで白状すれば、これは私の自信のなさの現れでもあった。
夏休み前には調査票の郵送も終わり、休みに入ると返送されてきた調査票が目に見えて日に日に増えていく。4年生の益子さんや2、3年生、院生とで、毎日 交替で返ってきた調査票のチェックを行った。例年、夏に学校に来ることなど、ほとんど無かったために、ある意味、新鮮な気分で最初の数日は過ごすことがで き、「貴重な経験だ」と自分に言い聞かせながら作業をしていたのが昨日のことのように思い出される。秋口にはデータ入力、分析と、調査は順調に進んだが、 1年を通じて行った作業は、当たり前ではあるが「大変だった」という印象しかない。
先ほども書いたように、大規模な郵送調査は初めての経験だったが、夏休み後半から秋にかけて忙しかった調査票のチェック、データの入力に多くの協力があったことは本当にありがたかった。
郵送調査に関して、2、3年生には一言書いておきたい。
これは村山先生、渡邊先生もおっしゃっていることだが、この調査を生かしていってくれればありがたいということである。2、3年生は卒論を書くことにな ると思うが、実際に卒論、修論を書いた経験から言えば、加工可能な生のデータと調査票が両方存在することは大変貴重である。

3.学部生、院生の皆さんへ
人は、自分のできない事(あるいは、できなかった事)を他人に押しつけたがる。年を重ねるたび、後悔ばかりが増えていく。これは単に、私が後ろ向きの性格であるだけかもしれないが。
..................
また、大学院に入ってから、TA(ティーチング・アシスタント)をやらせていただいた。
正直言って、この仕事を私がやる事で、学部生、後輩の院生、皆の役に立ったかどうかは分からない。むしろ実力不足で、足を引っ張った事の方が多かったかもしれない。
ただ、学部生の頃は自分の世界にこもりがちだった私が、この2年間、TAの仕事を通じて後輩や先生方とコミュニケートを深める事で得たものは大きかっ た。至らないことの方が多かったが、実習や研究室内の作業の際、声をかけてくれた学部生、院生には感謝の気持ちで一杯である。
最後に、村山先生、渡邊先生には学生生活の様々な場面で非常にお世話になりました。
ここに深く深く御礼申し上げます。

学部生、院生は、あと2年(3年生、院生は1年)、自分のやりたいことを精一杯やってください。
「行動した後でする後悔」と「行動せずにする後悔」とは全く違うと思います。今を大切に生きていって欲しいな、と思います。24歳になって、感じ始めた事ですが。
2年間、本当にありがとうございました。

(一部プライバシーの関係からカットしている部分があります(渡邊))

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